妙仙寺 (日進市)

妙仙寺（みょうせんじ）

妙仙寺は、愛知県日進市岩崎町に位置する曹洞宗の寺院です。この寺は、かつて岩崎城の城主であった一色丹羽氏の菩提寺として、その歴史を刻んできました。また、愛知県小牧市にある福巌寺の末寺でもあります。

歴史

萬年山 長松寺としての始まり

妙仙寺の起源は、明応6年（1497年）に丹羽氏従が尾張国愛知郡折戸村（現在の愛知県日進市折戸町）に香華所として開創した萬年山長松寺に遡ります。この寺は、丹羽氏の信仰の場として重要な役割を果たしていました。

岩崎への移転と寺号の変更

天文6年（1537年）または天文7年（1538年）に、丹羽氏清が拠点を愛知郡本郷村から岩崎村へ移す際、長松寺も現在地より三町北の場所に移されました。この時、来鳳一覆を招いて開山とし、一言高賢が二世となりました。氏清は、曽祖父の氏従の法号である長松寺龍澤道盛から寺号を、曽祖母の法号である萬年寺大岳宗億から山号をそれぞれ取りました。

永禄7年（1564年）、氏清の子である丹羽氏識によって、現在の山号である大椿山と寺号の妙仙寺に改められました。この寺号は父の氏清の法号である妙仙寺椿岩道寿に、山号は母の法号である大椿院永仙妙寿に由来します。

尾張岩崎村・三河伊保藩時代

丹羽氏勝の長男である丹羽氏次は、岩崎城を拠点として織田信長に仕え、後に徳川家康に仕えました。関ヶ原の戦いでは東軍に属し、その功績により三河伊保藩1万石の藩主となりました。

妙仙寺は、松林を含む18町歩の境内が無年貢地であり、他に寺領として田を所有していました。この寺領は丹羽家からの寄進と考えられていますが、丹羽氏次が伊保藩に移った後は一時的に給地領となりました。しかし、慶長15年（1610年）に再び寺領として妙仙寺に寄進されています。

寛永15年（1638年）に伊保藩が廃藩となると、美濃岩村藩主の松平乗寿が遠江浜松藩に移封され、後任として丹羽氏信が美濃岩村藩主となりました。寛永21年（1644年）には、南齢牛誉によって本堂が再建されました。正保3年（1646年）に岩崎村が尾張藩士の渡邉治綱の采地となっても、境内地と寺田はそのまま安堵されました。

文政2年（1819年）の「改正水帳」には、寺の所有する田畑に関する詳細な記録が残されています。明治19年（1886年）の「寺籍財産帳」によれば、寺の所有する土地は約13,000坪でしたが、現在の境内地は1,257坪となっています。

美濃岩村の妙仙寺

丹羽氏信が岩村藩主となった際、岩村にも妙仙寺が創建されました。これは、岩崎の妙仙寺九世の斧峯牛鈯が、前藩主の菩提寺であった龍巌寺の伽藍を受け継いで開創したものです。この岩村の妙仙寺が、後に播磨の山国村の妙仙寺の基となりました。そのため、現在、妙仙寺は愛知県日進市と兵庫県加東市の両方に存在しています。

建造物

現存する山門は寛政5年（1793年）に再建されたもので、その後も何度か修理が行われています。また、かつては塔頭として慈眼庵がありましたが、現在は慈眼寺として独立しています。

文化財

山門 - 日進市指定文化財（1991年指定）
臥龍の松 - 日進市指定文化財（1980年指定）

境内にある樹齢400年を超えるクロマツの巨木で、その姿から「臥龍の松」と呼ばれています。高さは約6.7m、幹まわりは約2.5m、枝張は東西約11.5m、南北約12.3mにも及びます。

年中行事

妙仙寺では、以下のような年中行事が執り行われています。

大般若会（1月）
涅槃会（2月15日）
彼岸供養（3月）
花祭（5月）
盆施餓鬼会（8月）
両祖忌（9月29日）
達磨忌（10月5日）
托鉢（11月）
成道会（12月8日）

関連寺院

妙仙寺（兵庫県加東市山国）

末寺

慈眼寺（愛知県日進市岩崎町）
寶泉寺（愛知県日進市折戸町）
妙淵寺（愛知県日進市野方町）
龍淵寺（愛知県日進市赤池町）
寶珠寺（愛知県日進市梅森町）
清安寺（愛知県東郷町諸輪）
薬王寺（愛知県みよし市莇生町）
光正院（名古屋市千種区今池）
瑞雲寺（愛知県豊田市西中山町）

参考文献

日進町誌編纂委員会 編『愛知県日進町誌 本文編』日進町誌編纂委員会、1983年、454-458頁。 （第七編 宗教 第二章 仏教 第二節 各説 妙仙寺）
『岩村町史』 一八、江戸時代の宗教 3 寺院 妙仙寺（大椿山）p309～p317 岩村町史刊行委員会、1961年
『社町史 第二巻 本編2』近世編 第二章 近世社の領主と支配 第二節 三草藩の成立と支配 四 定府大名丹羽氏の役職 丹羽氏と妙仙寺 p53～p54 社町史編纂室、2005年
* 『加東郡誌』第十篇 宗教 第二章 佛教 二 大椿山 妙仙寺 p702～p704 加東郡教育会、1923年

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