松平乗寿

松平乗寿（まつだいら のりなが）

松平乗寿は、江戸時代前期に活躍した大名で、美濃国岩村藩、遠江国浜松藩、上野国館林藩の初代藩主を歴任しました。大給松平家宗家の7代目にあたります。

生涯

慶長5年（1600年）に、大給松平家6代当主である松平家乗の長男として生まれました。15歳で父の跡を継ぎ家督を相続します。

慶長19年（1614年）の大坂冬の陣では、二条城にて美濃衆の組頭に任命され、稲葉正成、遠藤慶隆ら諸将を率いて河内枚方に布陣し、大坂方と対峙しました。大坂方が淀川の水を溢れさせ、人馬の通行を妨げた際には、幕府の命を受けてこれを埋め直しました。また、和睦の際には、玉造口の堤を切り崩し、大坂城の堀を埋める作業にも従事しました。

翌年の大坂夏の陣では、美濃と信濃の将士を率いて再び枚方に陣を敷きました。京極高次、京極高知の援護を命じられ、大坂城落城時には敗走する兵を討ち取るなど、初陣で大きな功績を挙げ、幕府から重んじられるようになりました。

元和2年（1616年）には徳川家康に拝謁し、従五位下・和泉守に叙任されました。16歳という若さでの叙任でした。

寛永9年（1632年）、岩村城の鎮護と領民の安泰を祈願し、石室千体仏を建立しました。寛永15年（1638年）には、美濃岩村藩から遠江浜松藩へ加増移封となり、それに伴い、岩村城下にあった父の墓所である龍巌寺を廃寺としました。

寛永19年（1642年）には、徳川家綱付きの世子傳となり、従四位下に叙せられました。正保元年（1644年）には上野館林藩へ加増移封され、6万石を領しました。慶安4年（1651年）には老中に抜擢され、政務を担うとともに、侍従にも任じられました。

承応3年（1654年）、館林にて55歳で死去し、群馬県館林市の善導寺に葬られました。

林春斎からは「柔懦な人物」と評されています。

家族

父：松平家乗
母：石川康通の娘
正室：
松平康長の娘
石川忠総の娘
側室：赤城氏
子女：
松平乗久（長男）
松平乗政（次男）
松平乗員
増山正利正室
松平乗親正室
小笠原長宣正室、のち松平乗親継室
貞安院 - 堀親貞正室

参考文献

『岩村町史』「十五 岩村藩主時代 1 松平氏（大給本家）」 (p183～p186) 岩村町史刊行委員会、1961年
『恵那郡史』「第七篇 第二十八章 諸藩分治 其一 岩村藩 松平氏二代」(p211～p213) 恵那郡教育会、大正15年（1926年）
『徳川幕閣 武功派と官僚派の抗争』藤野保、中公新書

注釈

林春斎による人物評については出典の確認が必要です。

出典

* 上記参考文献を参照

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