丹羽氏信

丹羽氏信（にわ うじのぶ）

丹羽氏信は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将、大名であり、三河伊保藩の2代藩主、後に美濃岩村藩の初代藩主となりました。氏次系丹羽家の二代目にあたります。

出自

丹羽氏は、清和源氏の流れを汲む一色氏の末裔とされています。室町幕府の有力な家柄であった一色氏の一族である一色氏明が、尾張国丹羽郡丹羽荘に定住し、その地名から丹羽氏を名乗ったのが始まりです。

略歴

天正18年（1590年）、丹羽氏次の次男として伊勢国に生まれました。兄である氏資が早世したため嫡子となり、慶長6年（1601年）に父の死を受けて家督を継ぎ、三河伊保藩の2代藩主となりました。

江戸幕府に従い、慶長19年（1614年）の大坂冬の陣では、老臣の鈴木主馬らが率いる兵を指揮し、水野勝成と共に参戦しました。翌慶長20年（1615年）の大坂夏の陣では、5月6日の道明寺の戦いで勝利を収め、5月7日の天王寺・岡山の戦いでは敵の首を19も討ち取るという武功を挙げました。しかし、氏信の勇敢で驕慢な性格が災いし、数々の武将を侮ったために、しばらくの間、その功績が正当に評価されることはありませんでした。

元和3年（1617年）には、御書院番頭に任ぜられ、式部少輔・従五位下に叙せられました。寛永12年（1635年）3月には根来百人組頭に任命されました。そして、寛永15年（1638年）4月27日には1万石を加増され、2万石の大名となります。同年12月には、国替えにより浜松藩に移封された松平乗寿の後を受けて、美濃岩村藩に移封されました。

岩村城に入城すると、城上八幡社の社前に別当寺として日月山薬師寺を創建し、領内の鎮護を祈願しました。また、先代藩主である大給松平氏の菩提寺であった龍厳寺の建物を活用し、尾張国岩崎城にあった菩提寺である大椿山妙仙寺と同名の寺を岩村に建立し、菩提寺としました。この時の妙仙寺の住職は、六世の斧峰牛鈯和尚でした。

寛永21年（1644年）には、大坂加番に任ぜられました。

正保3年（1646年）5月11日に江戸で死去しました。享年57歳。菩提寺の妙仙寺に葬られました（現在の岐阜県恵那市岩村町）。家督は長男である氏定が継ぎました。

なお、丹羽氏が播磨の三草藩に転封した際に、妙仙寺も兵庫県加東市に移転したため、現在、岩村には妙仙寺は存在せず、大名墓地に墓が残されています。

系譜

父：丹羽氏次
母：加藤忠景の娘
正室：於徳の方（？-1667） - 水野忠胤の娘、水野勝成の養女
長男：丹羽氏定（1606-1657）
三男：丹羽氏春（1634-1696） - 別名：信氏
生母不明の子女
長女：渡辺綱貞の正室
次女：鐺（？-1636）
次男：勘十郎（？-1642） - 権之助
三女：喜意（？-1660）
四女：三枝守俊の正室
五女：亀 - 丹羽家家臣丹羽茂利養女、後に松平成勝の正室
六女：鍋（？-1669） - 丹羽家家臣鈴木光広の正室
四男：佐助（？-1678）
七女：水野勝俊家臣上田玄蕃の正室

参考文献

『岩村町史』　十五　岩村藩主時代　2　丹羽氏　p186～p192　岩村町史刊行委員会　1961年
『恵那郡史』　第七篇　第二十八章　諸藩分治　其一　丹羽氏五代　p213～p218　恵那郡教育会　大正15年
『恵那市史　通史編　第2巻』　第二章　諸領主の成立と系譜　第三節　岩村藩　二　丹羽家　p121～p125　恵那市史編纂委員会　1989年
* 『寛政重修諸家譜 第2 新訂』　第八十五　足利支流―一色　二篇・丹羽　二篇　p168～p175　堀田正敦 等　続群書類従完成会　1964年

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