妻木頼利

妻木頼利は、1585年に生まれ、1653年に没した江戸時代前期の武将です。美濃国土岐郡を領地とする交代寄合、妻木氏の14代目当主として知られています。幼名は不明ですが、通称として主水、権左衛門、安休を名乗りました。妻木頼忠の子として生まれ、実照院殿即心安休居士という戒名を持ちます。

1600年、16歳の時に人質として江戸に送られましたが、翌年には帰郷を果たします。1623年に父の死去に伴い家督を継承し、妻木氏の当主となりました。その後の頼利は、領主としてだけでなく、寺社の建立や普請奉行としても活躍しました。

1625年には、三河国挙母村の雲外霄公が発起人となり、崇禅寺の中興開山を清巌に依頼しました。頼利はこれに協力し、土岐口の大沢に堂宇を建立し、7石2斗の寺領を寄進しました。また、1633年には木曽三川の普請奉行を務め、1636年には多賀大社の造営奉行を担当するなど、幕府の事業にも貢献しました。

1652年には、子の妻木頼次に家督を譲りましたが、その際に兄弟間で不和が生じ、妻木騒動が起こりました。この騒動により、弟の妻木幸広に土岐郡大富村500石を分知し、妻木家の所領は7,000石となりました。1653年、頼利は江戸で病没し、正覚院に葬られました。法号は廣徳院殿即心安休大居士です。菩提寺である崇禅寺にも墓碑が建立されています。

妻木頼利の江戸屋敷は、現在の東京慈恵会医科大学の敷地内にありました。妻木頼利は、激動の時代を生き抜いた武将であり、その生涯は波乱に満ちていました。子には、頼次、頼長、幸広、頼帯、女子二人がおり、そのうち一人は家臣の塚本氏の養女となりました。

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