多賀大社

多賀大社について

多賀大社は、滋賀県犬上郡多賀町に位置する歴史ある神社です。古くから「お多賀さん」として地域の人々に親しまれ、伊邪那岐命（いざなぎのみこと）と伊邪那美命（いざなみのみこと）の二柱の神を祀っています。式内社であり、旧社格は官幣大社、現在は神社本庁の別表神社となっています。

歴史

多賀大社の創建は非常に古く、その起源には諸説あります。『古事記』の写本には、伊邪那岐大神が淡海の多賀に坐すと記述されていることから、この地が神聖な場所であったと考えられています。また、この地を支配した豪族・犬上氏の祖神を祀ったとする説もあります。犬上氏は、飛鳥時代の遣隋使・遣唐使として知られる犬上御田鍬を輩出した一族で、多賀社がある犬上郡の名祖ともされています。

中世に入ると、多賀大社は神仏習合の影響を受け、「多賀大明神」として信仰を集めるようになりました。特に、お守りとして授与される「お多賀杓子」は有名で、その名が「お玉杓子」や「オタマジャクシ」の語源になったとも伝えられています。

戦国時代には、近江守護の六角高頼によって天台宗の不動院が建立され、神宮寺として発展しました。「お伊勢参らばお多賀へ参れ」という言葉が示すように、伊勢神宮と並び称されるほど庶民の参詣で賑わいを見せました。

江戸時代には、社殿の焼失や災害に見舞われましたが、その都度、幕府や彦根藩からの支援を受け復興しました。幕末には、多賀社の神職であった車戸宗功が長州藩士らを援助したという逸話も残されています。

明治時代に入ると、神仏分離令により神宮寺は廃絶され、多賀社は近代的な神社として再出発しました。1885年には官幣中社、1914年には官幣大社に昇格。1947年には「多賀大社」と改称し、現在に至っています。

祭神

多賀大社では、以下の二柱の神を主祭神として祀っています。

伊邪那岐命（いざなぎのみこと）：日本神話に登場する男神で、伊邪那美命とともに多くの神々を生んだとされています。
伊邪那美命（いざなみのみこと）：日本神話に登場する女神で、伊邪那岐命とともに国生み・神生みを行ったとされています。

境内

多賀大社の境内には、以下の主要な建造物があります。

本殿: 1930年に再建された三間社流造の建物で、多賀町の有形文化財に指定されています。
祝詞殿、幣殿、神楽殿、回廊、拝殿: いずれも多賀町指定有形文化財です。
寿命石: 重源上人ゆかりの石で、長寿祈願に訪れる人が多いです。
能舞台、神馬舎、社務所、奥書院、庭園、儀式殿、参集殿、文庫、神輿庫、鐘楼、太閤蔵、絵馬殿、手水舎、御神門、太閤橋: これらの多くも文化財指定を受けています。
摂末社: 金咲稲荷神社、熊野新宮、天神神社、熊野神社、聖神社、三宮神社、竈神社、年神神社、子安神社、天満神社、愛宕神社、秋葉神社、日向神社、神明両社、夷神社などがあります。
境外社: 山田神社、高松神社、楫取神社、祖母神社などがあります。

祭事

多賀大社では、年間を通して様々な祭事が行われます。主なものとして、御日供祭、月次祭、歳旦祭、節分祭、紀元祭、祈年祭、古例大祭、御田植祭、大祓式、万灯祭、九月古例祭、神嘗祭、新嘗祭、天長祭、除夜祭などがあります。特に、毎年4月22日に行われる古例大祭は、多賀大社最大の祭典として知られています。

長寿祈願

多賀大社は、特に長寿祈願の神として信仰を集めてきました。鎌倉時代の僧・重源が東大寺再建のために多賀神に祈願したところ、寿命が20年延びたとされる伝説が残っています。この伝説にちなみ、境内にある「寿命石」は長寿を願う参拝者で賑わっています。また、豊臣秀吉も母の延命を祈願し、多賀大社に多額の寄進を行ったと伝えられています。

お多賀杓子

多賀大社のお守りとして知られる「お多賀杓子」は、元正[[天皇]]の病気平癒を祈願して献上されたことに由来するとされています。かつては、特徴的な形状をしており、それが「お玉杓子」や「オタマジャクシ」の語源になったとも言われています。

近年の改修と造営

多賀大社では、近年も積極的に改修や造営が行われています。1929年から1933年にかけて境内の整備が行われ、本殿も新築されました。さらに、2002年からは「平成の大造営」が行われ、境内がより美しく整備されています。

文化財

多賀大社には、数多くの文化財が所蔵されています。重要文化財としては、紙本金地著色調馬・厩馬図六曲屏風が、国の名勝としては多賀大社庭園が指定されています。また、滋賀県指定文化財や多賀町指定文化財も多数あります。

交通アクセス

多賀大社へは、公共交通機関を利用する場合は、近江鉄道多賀大社前駅から徒歩約10分。自動車の場合は、名神高速道路の彦根IC、湖東三山スマートIC、多賀スマートICからアクセス可能です。

その他

多賀大社は、神仏霊場巡拝の道の一つにもなっており、多くの参拝者が訪れています。また、近江鉄道本線は、多賀大社と縁の深い伊勢神宮に向けて、鉄道を延伸しようとした構想があったとされています。

多賀大社は、豊かな歴史と文化を持つ神社として、これからも多くの人々に親しまれていくでしょう。

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