妻線

国鉄妻線：宮崎の地に刻まれた鉄道の歴史

宮崎県宮崎市佐土原駅から西都市杉安駅までを結んでいた国鉄妻線は、1984年12月1日、全線廃止という歴史の幕を閉じました。全長19.3kmのこの路線は、かつて宮崎県民の生活に深く根ざした地方交通線であり、その歴史は、日本の近代化と深く関わっています。

開業と発展：宮崎への最初の鉄道

妻線の歴史は、1913年12月15日に宮崎県営鉄道として宮崎駅から福島町間が開業したことに始まります。当初は宮崎駅への鉄道アクセスが都城方面からの官設鉄道（宮崎線）の延伸工事の遅れにより遅れており、妻方面への路線が先に開業したという経緯があります。この県営鉄道は、1917年9月に国有化され、妻軽便線と改称、その後1922年には妻線と改名されました。

1920年には宮崎本線の高鍋延伸に伴い、宮崎 - 広瀬間が宮崎本線に編入され、妻線は広瀬 - 妻間となりました。1922年には妻 - 杉安間が開業し、全通を果たしました。この間、多くの駅が開業し、地域住民の足として重要な役割を果たしました。

戦時中と戦後の混乱：休止と復活

第二次世界大戦中の1944年12月1日、妻 - 杉安間は不要不急線として休止となりました。しかし、戦後の1947年3月20日、営業が再開され、地域の交通網の一端を担い続けました。

廃止への道：赤字路線の運命

高度経済成長期以降、自動車の普及により利用客が減少。1968年には赤字83線の一つに指定され、廃止の危機に瀕します。1980年の国鉄再建法の施行により、第1次特定地方交通線に指定され、1984年12月1日、ついに全線廃止となりました。

廃線後の現状と地元の思い

廃止後、路線跡の多くは撤去されずに残され、自転車歩行者専用道路として活用されてきました。しかし、時間とともに道路整備が進み、一部区間では廃線跡の面影はほとんど残っていません。それでも、地元住民の妻線への愛着は深く、将来の復活を願う声も聞かれます。

計画された延伸とバス路線の展開

当初、妻線は杉安駅から湯前線湯前へと延伸される計画がありましたが、実現せず、代わりに国鉄バス日肥線が運行を開始しました。バス路線はその後、人吉方面まで拡大するなど盛況を極めた時期もありましたが、JR九州バスの撤退後、現在は西米良村営バスと宮崎交通バスによって運行が継続されています。

年表：妻線の軌跡

妻線は、1913年の開業から1984年の廃止まで、様々な出来事を経験しました。その歴史をたどる年表は、この路線の興亡を物語る重要な資料です。

まとめ：地域の記憶として

国鉄妻線は、その歴史の中で、地域の交通の要として、人々の生活を支えてきました。廃止から年数が経ち、その姿は消えつつありますが、妻線は宮崎の歴史に深く刻まれた存在であり、地元住民の記憶の中に生き続けています。その歴史と、地元の思いを未来へ繋いでいくことが重要です。

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