委託公衆電話

委託公衆電話の概要

委託公衆電話（いたくこうしゅうでんわ）は、日本国内のさまざまな場所に設置されている公衆電話であり、施設の運営者によって管理されています。駅や公共施設、商業施設などに見られるこの電話は、かつて「赤電話」と呼ばれたこともある赤色の電話機を使用しています。多くは「第2種公衆電話」に分類されており、採算性を重視した設置が進んでいるため、新たに設置されるケースは稀です。

設置の多くは月々の利用料金が4000円以下の場合、撤去や特殊簡易公衆電話（通称：ピンク電話）への交換が推進されています。ただし、総務省による設置台数維持の義務があるため、撤去の動きは柔軟です。廃止によって発生するコストが大きい場合も多く、利用者が少なくても設置を続けることもあります。

委託公衆電話の設置に関しては、施設の設置者が申請を行い、NTTが設置を決定して契約を交わします。その後、電話が設置されると、通話料金の回収や日常的な清掃、故障時の応急対応は施設の管理者に委託されます。委託手数料は、毎月の通話料金から相殺される形で処理され、請求書は他の通信サービスと合わせて送付される仕組みです。

歴史的背景

委託公衆電話の制度が設けられたのは1952年のことで、戦後の公衆電話不足を解消するためにスタートしました。この当時、たばこ屋や駅売店などに設置され、主に黒電話が使用されていました。その後1953年から、一般電話と識別するために赤い電話機の導入が始まり、1955年には10円硬貨専用の前納式赤電話が設置されるようになりました。初期の赤電話はダイヤル市外発信ができない restricted gadgetでしたが、1961年には大型赤電話を導入し、これにより市外通話が可能になりました。

1971年には110番や119番への緊急通報ができる新型赤電話が登場し、さらに1974年には小型青電話も設置されました。小型青電話は防犯対策が強化され、閉店後も誰でも利用可能な形となりました。その後、1980年代には100円硬貨を使用できる赤電話が導入され、110番や119番にはボタン操作で通話できる機能が追加されました。また、1982年からはテレホンカード式公衆電話の設置も始まり、両者の交換が行われました。

1995年にテレホンカード式への切り替えが完了し、1999年にはICテレホンカード式が導入されましたが、2005年にはその廃止が決定され、2006年には撤去が完了しています。このように、委託公衆電話は長い歴史を持ち、時代とともにさまざまな変化を遂げてきた日本の公共通信インフラの一部です。

この電話の役割は今もなお続いており、地域住民や観光客にとって便利な通信手段として利用されています。

もう一度検索