姥山貝塚

姥山貝塚

姥山貝塚は、千葉県市川市柏井町一丁目に位置する、縄文時代中期から後期にかけての貝塚を伴う環状集落の遺跡です。大柏川左岸の標高約24メートルの台地上に広がり、東西130メートル、南北120メートルの南に開口した馬蹄形の貝塚を特徴としています。現在、姥山貝塚公園として整備され、その歴史的価値から国の史跡に指定されています。

概要

姥山貝塚は比較的早い時期からその存在が知られており、1893年（明治26年）以降、数回の調査が行われてきました。本格的な調査は、1926年（大正15年/昭和元年）に東京人類遠足会および東京帝国大学人類学教室によって実施された発掘調査です。この調査によって、縄文時代の竪穴建物跡が完全な形で検出され、計20棟が確認されました。これは、縄文時代の集落の存在を示す最初の遺跡発見として、非常に重要な意味を持っています。

さらに、20棟のうち1つの竪穴建物跡からは、成人男女各2名と子供1名、計5名の人骨が発掘されました。これらの人骨は、当時の住居の居住人数を推測する上で貴重な手がかりとなっています。また、この建物跡からはフグの骨も発掘されており、住人たちがフグを食べて中毒死したという説も存在しますが、詳細については不明です。

その後も周辺部の調査が進められ、計39棟の竪穴建物跡と計143体の人骨が発掘されています。これらの発見は、当時の集落の構成や埋葬に関する貴重な情報を提供してくれています。

発掘された遺物は、東京大学、南山大学、明治大学などに保管されているほか、市川市内の堀之内貝塚に隣接して建設された市川考古博物館にも展示されており、一般公開されています。

新潟医療福祉大などによる2020年からの生物学的な調査では、上記の竪穴住居跡から発見された5名の人骨について、新たな事実が明らかになりました。成人女性2名と子供（5歳前後の男子と推定）には血縁関係がないこと、また、女性1名の食性が他の人骨とは異なっていたことなどが判明しています。これらの発見は、当時の社会構造や食文化を理解する上で重要な示唆を与えてくれます。

参考文献

堀越正行「姥山貝塚」『日本古代遺跡事典』（吉川弘文館、1995年） ISBN 978-4-642-07721-7

関連項目

環状集落
堀之内貝塚
曽谷貝塚
縄文時代の遺跡一覧
千葉県の貝塚の一覧

外部リンク

* 市川市姥山貝塚'>市川市姥山貝塚

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