姫路市交通局モノレール線

姫路市営モノレールの歴史と運営

姫路市営モノレールは、かつて兵庫県姫路市内で運行されていた鉄道路線であり、姫路駅と手柄山駅（手柄山中央公園）を結んでいました。このモノレールは1966年に開業し、当初は姫路大博覧会に合わせた輸送手段として期待されていました。しかし、営業不振や経営の困難さから、わずか8年後の1974年に休止、1979年には廃止されました。

開業経緯と運行計画

姫路市の戦後復興を推進した石見元秀市長のもと、交通混雑の緩和を目的に計画されました。アメリカのディズニーランドのモノレールに触発された石見市長は、市内の工業地域と住宅地域を結ぶという壮大な構想を描いていました。1966年には姫路博の開催に合わせて姫路駅と手柄山駅間1,824メートルが開業しました。開業の準備は遅れがあり、姫路博開幕に間に合わず、結局は会期後半での開業となりました。

利用状況と営業成績

開業初年度は402,967人の利用者数があったものの、その後は毎年大幅に減少し、翌1967年度には334,517人、1968年度には245,718人まで落ち込む結果となります。運賃の高さや終点の不便さが影響し、姫路 - 手柄山間の100円という料金は「タクシーの方が安い」との声を生みました。このような状況が続き、輸送密度もわずか300 - 400人台の低迷を見せ、経営は厳しくなり、一般会計からの多額の資金投入が続くこととなります。

建設反対運動と政治的な影響

モノレールの建設に際し、1964年から反対運動が展開されました。住民たちは契約の合法性を訴え、運動は激化しました。これにより、石見市長への不満や不信感が高まり、1967年の市長選挙では吉田豊信が当選し、モノレール事業の見直しが行われることとなります。しかし様々な理由により、運営の継続が難しいとの結論に至り、最終的にはモノレールの廃止が決定されました。

休止と廃止後の状況

1974年には営業を休止し、1979年に正式に廃止されました。閉鎖後も廃軌道や施設が放置され、一部では再利用の検討もありましたが、1991年には社会学者がこの廃線跡を「現代遺跡」と呼ぶこととなり、その歴史的意味が再評価されています。現在、元手柄山駅は日本の博物館や展示施設として再生されており、モノレールの名残を訪れる人々を魅了しています。

駅の現状

モノレールの駅は、その後の再開発や利用状況を反映し、それぞれ異なる運命をたどりました。姫路駅はバスターミナルが整備され、手柄山駅は緑の相談所に再利用されています。大将軍駅は公共施設として利用されつつも、今後の解体が予定されています。

このように、姫路市営モノレールは短期間での運営にもかかわらず、その後の歴史において市民に強く記憶され続けています。それは単なる交通手段としてでなく、都市交通の一つの形としての挑戦を象徴する存在でもあったのです。

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