威化島回軍

威化島回軍について

威化島回軍（いかとうかいぐん）は、高麗末期の1388年に発生した歴史的な事件であり、将軍李成桂が中心となって行った政変です。この事件は、遼東攻伐軍の主力部隊を故郷の首都・開京（現在の開城）に召還し、崔瑩を中心とした政権を打倒するものとして知られています。威化島回軍は高麗王朝の崩壊を加速させるきっかけとなりました。

事件の経緯

事件の背景には、当時元を倒し新たに政権を樹立した明の洪武帝の介入がありました。1388年の2月、洪武帝は高麗に対して元代に取得した旧領の返還を求めました。この要求に対し、高麗朝廷は親元派が主流であったため、議論の結果、崔瑩を総司令官とした攻伐軍の遼東への派遣を決定します。この時、李成桂は「四不可論」を理由に派兵に反対していました。

「四不可論」とは、軍を出す際に避けるべき四つの条件を示したもので、高麗が大国の明に逆らうことや、夏の時期に兵を発すること、国を挙げての遠征で日本が攻め込むリスク、そして気候や病気の影響を挙げていました。これらの理由は、李成桂が派兵に対して持っていた懸念を示しています。

同年の4月18日、西京（現在の平壌）を出発した軍隊は、5月7日に威化島に到着しました。しかし、この時期には長雨が続いており、鴨緑江が増水して渡河できない状況でした。李成桂は撤兵を提案し、同じく曹敏修も賛同しました。そして5月22日、軍隊は開京へ戻ることを決定しました。

6月1日、反乱を率いた李成桂は開京近郊に布陣し、2日後には宮中に突入。崔瑩を捕らえて流刑にした後、処刑しました。また、禑王も追放され、その後に賜死となります。新たに即位したのは、曹敏修の意見に基づく昌王でした。

その後、李成桂と曹敏修は新政権の主導権を巡って争い、最終的に李成桂が勝利を収めます。1389年には彼が推薦した恭譲王が即位し、これにより李成桂は実権を完全に掌握し、朝鮮王朝の基礎を築くこととなりました。

威化島回軍が当初から計画されていたクーデタであったか否かについてはさまざまな意見が存在しますが、しばしば現場の状況判断に基づく行動であったとされています。With this event, 李成桂は朝鮮の歴史において重要な役割を果たし、新たな王朝の成立へとつながっていくのです。

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