媽祖廟

媽祖廟は、海の守護神である媽祖（まそ）を祀る廟のことで、天后宮、天后祠、天后寺、天后廟、聖母寺などとも呼ばれています。日本では天后神社としても知られています。中国大陸沿岸部、台湾、香港、マカオ、日本、ベトナムなど東南アジアの各地、そして東アジア系の人々が住む海外の各地に広く分布しています。

特に台湾は、中国本土以外で最も媽祖信仰が盛んな場所として知られています。四川盆地にある天后宮は、湖広填四川の際に、客家の人々によって建立されました。媽祖は、海の神から水上輸送の神、さらには全能の神へと信仰が広がっていきました。中国南部、中国東部、そして中国全土では、媽祖を崇拝する習慣が根強く、安全な航海が保証されると信じられています。そのため、天后宮の正面玄関の多くは海に面しています。

媽祖の伝説

媽祖の伝説によると、彼女は宋王朝時代の建隆元年（960年）3月23日に、福建省泉州莆田県の湄洲島で生まれました。誕生時には部屋が赤い光に包まれ、香りが満ち溢れるという特別な兆候があったと伝えられています。満月になるまで泣かなかったため、林黙（りんもく）と名付けられました。林黙は幼い頃から天気を予測する能力を持っており、船が難破した時には人々を救助したとされています。雍熙4年（987年）、27歳になった時に、湄洲の山から昇天したとされています。

それ以来、媽祖はしばしば海上に姿を現し、多くの人々を救ったとされ、沿岸部の村人たちは彼女を崇拝するために廟を建てました。歴代の王朝の皇帝も媽祖に称号を贈り、天妃として尊んでいました。康熙22年（1683年）には、福建海軍の施琅が台湾を攻撃した際に、軍艦が座礁したため、清軍の兵士たちは天妃に祈り逃れることができました。このことを知った康熙帝は、天妃を「天后」と改名しました。その後、天后は中国と東南アジアにおける漁師や船乗りの守護神として、広く信仰を集めるようになりました。一部の漁師は、自分の子供を天后に捧げることもありました。現在、福建省出身の林姓の人々は、天后を自分たちの祖先とし、「天后聖姑」として尊敬する習慣が一般的となっています。

世界の媽祖廟

媽祖廟は、中国大陸、台湾、香港、マカオ、日本（琉球を含む）、ベトナムなどの東南アジア諸国をはじめ、中国系の人々が多く住む世界各地に存在しています。日本にも多くの媽祖廟があり、その一部を以下に示します。

青森県下北郡：稲荷神社 (大間町)
茨城県北茨城市：磯原天妃山弟橘媛神社
茨城県小美玉市：小川天聖寺跡天妃尊
茨城県水戸市：祇園寺
群馬県高崎市：大應慈天后宮
東京都新宿区：東京媽祖廟
神奈川県横浜市：横浜媽祖廟
神奈川県足柄下郡：福寿院（箱根観音）
兵庫県神戸市：関帝廟
大阪府大阪市：大阪関帝廟
長崎県長崎市：興福寺、崇福寺、唐人屋敷（福建会館/天后堂）
沖縄県那覇市：首里天后宮、至聖廟
沖縄県久米島町：真謝天后宮
沖縄県八重瀬町：唐の船御嶽



これらの媽祖廟は、地域によってその様式や信仰の形に違いが見られますが、媽祖への敬意と感謝の念は共通しています。

関連項目

北港朝天宮 (台湾)
媽祖祖廟 (中国福建省)
媽閣廟 (マカオ) - 「マカオ」の名称の由来になったとされる媽祖廟
Ma-Tsu Temple & Tin How Temple (米国サンフランシスコ)
Thien Hau Temple (米国ロサンゼルス)
Heavenly Queen Temple (オーストラリア・メルボルン)
孔子廟
関帝廟

外部リンク

媽祖
中華媽祖ネット (中国語)

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