建隆

建隆（けんりゅう）

建隆は、中国の北宋時代、太祖趙匡胤の治世における最初の元号であり、960年から963年までの期間に使用されました。この元号は、宋朝の成立と初期の安定に重要な役割を果たしました。

建隆年間の出来事

建隆元年（960年）
正月1日: 新年の祝賀中に、遼と北漢が共同で侵攻してくるという知らせが届き、後周は殿前都点検の趙匡胤を派遣しました。この緊急事態への対応が、後に趙匡胤が皇帝となるきっかけとなりました。
正月4日: 陳橋の変が勃発。趙匡胤は軍を率いて開封に戻り、後周の恭帝から禅譲を受け、皇帝に即位しました。これにより、宋朝が成立し、趙匡胤は太祖として知られるようになります。
正月5日: 国号を宋と定め、元号を建隆としました。これにより、新たな王朝の時代が始まったことを内外に宣言しました。
建隆2年（961年）
7月9日: 杯酒釈兵権（はいしゅしゃくへいけん）が行われました。これは、太祖趙匡胤が武将たちの権力を削ぎ、中央集権体制を確立するために行った重要な政策です。宴席で武将たちに引退を勧め、彼らの軍事力を吸収することで、皇帝の権威を高めました。
建隆4年（963年）
5月13日: 荊南が宋に降伏しました。これにより、宋朝の勢力が拡大し、統一への歩みが進みました。
4月10日: 建隆応天暦が施行されました。これは、農業生産や政治運営に不可欠な暦の制度を整え、国家の安定を図るためのものでした。
11月16日: 乾徳（けんとく）と改元されました。これにより、建隆の時代は終わりを告げ、新たな時代が始まりました。

峻豊（しゅんほう）について

高麗の光宗が峻豊という年号を建てたとする説がありますが、これは誤りです。峻豊は、実際には建隆の避諱（ひき）にすぎません。当時の高麗では、宋の太祖である王建（ワン・ゴン）の「建」と、世祖王隆（ワン・リュウ）の「隆」を避けるために、「建」を「峻」に、「隆」を「豊」にそれぞれ変更して使用しました。

まとめ

建隆の時代は短期間でしたが、宋朝の成立と初期の安定において非常に重要な時期でした。陳橋の変による王朝の交代、杯酒釈兵権による中央集権体制の確立、そして周辺地域への勢力拡大など、後の宋朝の繁栄につながる基礎が築かれました。また、暦の制定や避諱の慣習など、文化的な側面においても重要な出来事がありました。

もう一度検索