嫌中

嫌中（けんちゅう）とは

嫌中とは、中国や中国人に対する嫌悪感や反感の総称です。この感情は、世界各地でさまざまな形で現れており、その背景には複雑な要因が絡み合っています。

概要

日本においては、2000年代以降、中国の反日活動や領土問題、食品の安全性問題などをきっかけに嫌中感情が広がりました。特に、2010年の尖閣諸島沖での漁船衝突事件以降、中国国内での反日デモや日本企業への襲撃事件が発生し、日本人の嫌中感情は急速に増大しました。

また、「支那」という言葉が用いられることもありますが、この言葉は中国が支配する地域を限定的に捉える意図で使用されることがあります。

具体的な例

嫌中の具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。

民族・社会的な面

中国人観光客のマナーに対する不満

政治・軍事的な面

東シナ海ガス田問題
尖閣諸島を巡る対立

経済・ビジネス・環境的な面

中国の経済成長による脅威
知的財産権の侵害
食品の衛生管理問題
大気汚染（PM2.5など）

世界の嫌中度

国際的な調査によれば、世界各国で中国に対する否定的な感情が広がっています。特に、欧米諸国では、チベットやウイグル、香港の人権問題が嫌中感情を助長しています。また、アジア諸国でも、領土問題や歴史認識の違いから中国への不信感が高まっています。

2020年には、ASEAN諸国で中国の政治・経済的な影響力に対する警戒感が強まり、中国を「現状の秩序を打ち壊そうとする勢力」と認識する割合が増加しました。中国政府は、このような国際的な批判に対抗するため、「愛される中国」のイメージ作りに取り組んでいますが、依然として多くの国で中国に対する否定的な見方が根強く残っています。

アジアにおける嫌中感情

韓国

韓国では、中国が自国の文化を起源とする主張を強めていることから、反中感情が高まっています。特に、韓服やキムチの起源を巡る問題は、韓国国内で大きな反発を招いています。また、北京オリンピックの開会式で韓服を着た女性が少数民族代表として登場したことも、韓国国民の反感を買いました。

台湾

台湾では、中国による外交妨害や軍事的圧力、コロナ禍における中国の対応などから嫌中感情が強まっています。中国軍機が台湾の防空識別圏に頻繁に侵入しており、台湾政府も中国への対抗姿勢を鮮明にしています。

フィリピン

フィリピンでは、香港で働くフィリピン人メイドに対する差別的な扱いが問題視されており、中国に対する不満も存在します。

ベトナム

ベトナムでは、南沙諸島の領有権問題や過去の歴史的経緯から、中国に対する警戒感が根強く存在します。中国製品の流入や不法滞在者の増加も、嫌中感情を助長する要因となっています。

中国国内の嫌中感情

中国国内でも、沿岸部と内陸部の経済格差や民族間の摩擦から、北京政府に対する不満や反発があります。特に、広東、広西、四川、満洲、チベット、新疆、香港、マカオといった地域では、反エリート感情や反中華感情が見られます。

その他の地域の嫌中感情

タイ

タイでは、中国との交流が少ないため、中国人のことをあまりよく知らないという意見があります。

アフリカ

アフリカでは、中国企業の進出による労働環境や人権問題が指摘されており、ガーナやザンビアでは、中国人を標的とした事件が発生しています。

ヨーロッパ

ウクライナでは、ロシアによる侵攻に伴い、中国のネットユーザーによるウクライナ人女性に対する侮辱的な投稿が問題視されています。これらの投稿は、ウクライナ国内の中国人の排斥につながる可能性も指摘されています。

関連人物

嫌中感情に関する評論や活動を行う人物として、以下のような人々が挙げられます。

張戎（中国人評論家）
柏楊（台湾人評論家）
石平太郎（元中国人評論家）
陳巧文 (クリスティーナ・チャン)（香港人人権活動家）
金完燮（韓国人評論家）
小林よしのり（漫画家）
ナンシー・ペロシ（アメリカ合衆国下院議長）
リチャード・ギア（アメリカ合衆国俳優）
セゴレーヌ・ロワイヤル（フランス政治家）
スティーヴン・スピルバーグ（アメリカ合衆国映画監督）
チャールズ3世（イギリス国王）

まとめ

嫌中感情は、歴史、文化、政治、経済など、さまざまな要因が複雑に絡み合って形成されています。この感情は、単なる排他的な感情として片付けることはできず、それぞれの国や地域の歴史的背景や社会状況を考慮した上で、多角的な視点から理解する必要があると言えるでしょう。

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