子午線の祀り

『子午線の祀り』について

『子午線の祀り』は、日本の著名な劇作家・木下順二が手掛けた戯曲です。この作品は、古典文学『平家物語』を基にしたもので、特に平家の悲劇的な運命を描いています。1978年に発表され、1979年には宇野重吉の総合演出によって初演されました。

作品の背景

『子午線の祀り』は、平知盛の視点から描かれた物語で、源義経との対比を通じて平家の最期を描写しています。作品は、一ノ谷の戦いでの敗北から壇ノ浦の戦闘に至るまでの壮麗なストーリーを展開します。この作品は、平家の栄光とその崩壊を際立たせており、観客に深い印象を残します。

独特の朗読形式

木下順二は、戯曲において新たな試みを行い、「群読」と呼ばれる朗読形式を導入しました。この形式は、独りでの朗読から全ての俳優による合誦まで、様々なスタイルを組み合わせることが特徴です。この手法により、作品のテーマや人物の感情をより深く表現することが可能になっています。特に、主演の嵐圭史の演技は評価されており、彼が演じた役は『知盛逍遥』としても知られています。

上演歴

『子午線の祀り』は、これまでに様々な回数の上演を重ねてきました。初演からの上演歴は以下の通りです。

• - 第1次上演: 1979年（32ステージ）
• - 第2次上演: 1981年（36ステージ）
• - 第3次上演: 1985年（29ステージ）
• - 第4次上演: 1990年（18ステージ）
• - 第5次上演: 1992年（30ステージ）
• - 第6次上演: 1999年
• - 第7次上演: 2004年
• - 第8次上演: 2017年（野村萬斎による新演出）

各上演の中で、初期の数回は様々な事情により約40分のカットがあったものの、1990年の第4次上演で初めて全編が4時間にわたって上演されました。この完全版の上演により、物語の持つ深いニュアンスがより明確に伝わるようになりました。

受賞歴

この作品は、その独特な構成と演出により読売文学賞や朝日賞を受賞。2017年には野村萬斎の演出により改めて評価され、読売演劇大賞最優秀作品賞も受賞しています。このように『子午線の祀り』は、木下順二の代表作の一つとして位置づけられています。

出版情報

木下順二の『子午線の祀り』は、いくつかの版で刊行されています。主な書誌情報は以下の通りです。

• - 河出書房新社: 新装版（1986年）、河出文庫（1990年）
• - 岩波書店: 木下順二集8 『子午線の祀り』とその世界（1988年）
• - 岩波文庫: 子午線の祀り・沖縄 他一篇（1999年）

これらの出版物は、作品をより多くの人々に届ける役割を果たしています。『子午線の祀り』は、文学的価値だけでなく、演劇としても高く評価され続けています。

もう一度検索