子宮肉腫

子宮肉腫：種類、症状、診断、治療法、疫学

子宮肉腫は、子宮の筋肉層や結合組織に発生する悪性腫瘍です。子宮の組織構造によって、いくつかの種類に分類されます。子宮の裏層の間質から発生するものを子宮内膜間質肉腫、筋層から発生するものを子宮平滑筋肉腫と呼びます。さらに、上皮細胞由来の悪性腫瘍細胞を含む場合は、子宮癌肉腫と呼ばれます。以前は、子宮癌肉腫を悪性中胚葉性・ミュラー管混合腫瘍と呼んでいましたが、現在では子宮癌肉腫という名称が一般的です。

分類と病期

子宮肉腫は、世界産婦人科連合（FIGO）のがん染色システムを用いて病期分類が行われます。病期は、腫瘍の広がり具合によってステージIAからIVBまで分類され、それぞれに腫瘍の浸潤範囲や転移の有無が規定されています。例えば、ステージIAは腫瘍が子宮内膜に限られる場合、ステージIBは子宮筋層への浸潤が半分未満の場合、ステージIVBは遠隔転移がある場合を指します。


子宮内膜間質肉腫は、低悪性度（LGESS）と高悪性度（HGESS）に分類されます。これらの分類は、治療方針や予後予測に重要な役割を果たします。

兆候と症状

子宮肉腫の症状は、他の婦人科疾患と類似しているため、早期発見が難しい点が課題です。主な症状としては、異常な子宮出血（特に閉経後の出血）、骨盤痛や圧迫感、異常な分泌物などが挙げられます。また、急速に子宮が大きくなる場合も、子宮肉腫の可能性が疑われます。しかし、これらの症状は、子宮肉腫以外の疾患でも見られるため、必ずしも子宮肉腫を意味するものではありません。

診断

子宮肉腫の診断には、様々な検査が用いられます。まず、問診や身体診察を通して症状や病歴を詳しく確認します。その後、超音波検査、CTスキャン、MRIなどの画像検査を行い、腫瘍の大きさや位置、広がり具合を評価します。さらに、組織検査のために子宮鏡検査や子宮内容除去術が行われる場合もあります。最終的な診断は、採取した組織の病理学的検査によって確定されます。病理検査では、細胞分裂の頻度や細胞の形態などが詳しく調べられます。良性腫瘍である子宮筋腫と異なり、子宮肉腫では細胞分裂が活発に見られます。

治療法

子宮肉腫の治療法は、腫瘍の進行度、患者の年齢や健康状態などを考慮して決定されます。主要な治療法として、手術療法が挙げられます。手術では、腫瘍の摘出だけでなく、両側の卵管と卵巣を一緒に摘出することもあります。手術に加えて、放射線治療、化学療法、ホルモン療法などが用いられることもあります。リンパ節への転移が疑われる場合は、リンパ節郭清術が行われることもあります。リンパ節郭清術は、リンパ浮腫のリスクを高める可能性がありますが、必ずしもリンパ浮腫になるわけではありません。

疫学的事項

子宮体の悪性腫瘍の中で、子宮肉腫は比較的まれな疾患です。全体の約4％を占めるに過ぎません。発症原因は明らかになっていませんが、子宮への放射線照射やタモキシフェン（乳がん治療薬）の長期服用がリスクを高めることが知られています。多くの場合、閉経後に発症します。

関連事項

子宮肉腫と関連する疾患としては、子宮筋腫、平滑筋肉腫、肉腫などが挙げられます。

まとめ

子宮肉腫は、早期発見が困難で治療も複雑な疾患です。異常な子宮出血や骨盤痛などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが重要です。

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