子持ち銀河

子持ち銀河（M51）

子持ち銀河、またはM51（NGC 5194）は、りょうけん座に位置する壮大な渦巻銀河です。その名前の由来は、すぐ近くに位置する伴銀河NGC 5195にあります。この二つの銀河は重力的に相互作用しており、まるで親銀河が子銀河を抱えているように見えることから、「子持ち銀河」と呼ばれるようになりました。場合によっては、NGC 5194をM51A、NGC 5195をM51Bと表記することもあります。

子持ち銀河の直径は約10万光年と推定されています。これは、我々の銀河系とほぼ同じサイズです。その美しい渦状の腕は、数多くの星々や星間ガス、塵で構成されており、壮大な宇宙の風景を形作っています。

観測史

子持ち銀河は、1773年10月13日にシャルル・メシエによって発見されました。彼は「星はなく非常に微か」と記録しています。その後、1781年3月21日にはピエール・メシャンが伴銀河NGC 5195を発見しました。メシエは、自身のカタログでこの二つの銀河について「二重で、それぞれがよく輝く中心部を持ち、4'35"離れている。二つの『大気』は触れ合っており、片方が暗い」と記述しました。また、ジョン・ハーシェルも1889年にM51を中央部円形部分と外のリングの二重構造としてスケッチに残しています。同時期、ヨハン・ボーデは「小さく微かに輝く。おそらく楕円」と記録し、ジョン・ハーシェルは「我々の世界と同じだと思われる。取り巻く暈は銀河系を表現する」と述べています。スミスは、「明るく白い一対の星雲がそれぞれ核を持ち、惑星状物質がお互いに入れ込んでいる」と記し、特に南側の銀河が中心部を輝かせ、まるで水平になった時の土星の輪のように見えると描写しました。さらに、スミスは中心部を取り巻く4本の湾曲した腕のようなものをスケッチしています。

1845年には、ロス卿によってこの銀河の渦巻構造が初めて観測されました。彼は、その観測スケッチで「渦状。高倍率では一層複雑な構造が分かる。大きい方と小さい方はつながっているに違いない。最も珍しい渦状星雲である」と記しました。1861年には、「外側の核は渦が左巻きになっているのは事実である」と記録されています。ウェッブは「ロス卿の驚異的な渦状星雲。この光輪はすぐれた器機でないと及ばない。この不釣り合いな一対はよいコントラストを示す。大きい方の光輪は追跡できる。9.3インチで渦の終わりがわかる。ファインダーでは神秘的な光班」、フラマリオンは「よく目立つ二重星雲。それぞれ中心部がよく輝いて明瞭。互いの連絡箇所ははっきりしている」と述べています。

子持ち銀河は、その明るさから双眼鏡でも観測可能であり、アマチュア天文家にも人気があります。双方の銀河を結ぶ腕は、口径10cm程度の望遠鏡でも見えるとされています。マラスは10cmの望遠鏡で主星雲の中心部に濃淡を描き、伴星雲とつながった淡い腕を観察しましたが、その成果を「写真を見すぎたせいかも」と謙遜しています。渦状構造がどの程度の望遠鏡から見えるかについては、シュトルーヴェが15インチで明確に観測し、サゴは13インチの80倍で明確に見えるとしています。マラスは12.5インチでその渦状構造をはっきりと確認しています。また、条件が良ければ口径8cm程度の望遠鏡でも腕を捉えることができるという意見もあります。

M51銀河群

子持ち銀河は、M51銀河群の一員でもあります。M51銀河群は、M51やM63を含む銀河の集団で、地球から約3700万光年離れた場所に位置しています。この銀河群には、以下の銀河が含まれています。

NGC 5023
UGC 8313
UGC 8331
M63
子持ち銀河（M51A、NGC 5194）と伴銀河（M51B、NGC 5195）
NGC 5229
UGC 8683

超新星

これまでに子持ち銀河では、以下の超新星が観測されています。

SN 1994I - 1994年4月に発見されたIc型超新星。
SN 2005cs - 2005年6月に発見されたII型超新星。
SN 2011dh - 2011年5月に発見されたIIb型超新星。これは、非常に珍しい黄色超巨星の超新星爆発でした。

出典

NASA APOD: The Whirpool Galaxy
StarDate: M51 Fact Sheet
M51: Calar Alto Observatory
SEDS: Spiral Galaxy M51

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