子日 (初代神風型駆逐艦)

子日 (初代)（ねのひ）

大日本帝国海軍が運用した駆逐艦の一つ、「子日（ねのひ）」は、初代神風型駆逐艦の20番艦として建造されました。後に同名の初春型駆逐艦が登場したため、区別のため本艦は「子日 (初代)」あるいは「子日I」と表記されるのが通例です。この名称は、十二支における最初の日を指す「子日」に由来するものと考えられています。

建造から竣工まで

本艦の建造は、日露戦争が終結に向かう最中に進められました。1905年（明治38年）2月15日、製造番号第20号艦として「子日」と命名されました。同年6月25日には、海軍の主要工廠の一つである呉海軍工廠にて起工。順調に工事は進み、同年8月30日には無事に進水し、この日をもって正式に帝国海軍の駆逐艦として類別されました。そして、艤装工事などが完了した同年10月1日、本艦は全ての工程を終え竣工を迎え、部隊に配備されました。

駆逐艦としての活動

竣工後、「子日」は帝国海軍の一員として様々な任務に就きました。主要な戦役としては、まず第一次世界大戦中の活動が挙げられます。特に、1914年（大正3年）に勃発した青島の戦いにおいては、本艦も作戦に参加し、その一翼を担いました。ドイツの膠州湾租借地に対する攻撃において、駆逐艦は偵察や哨戒、護衛といった多岐にわたる任務を遂行しており、「子日」もそうした活動を通じて貢献したと考えられます。

第一次世界大戦終結後も、本艦は引き続き任務に就きました。ロシア革命後の混乱期に行われたシベリア出兵（1918年～1922年）の際には、沿海州方面へ派遣され、沿岸警備任務に従事しました。この任務は、日本権益の保護や日本人居留民の安全確保、あるいは陸軍の輸送支援など、当時の国際情勢を踏まえた重要な役割であり、「子日」もその一員として、極東地域の海域で活動を展開しました。

掃海艇への種別変更と最期

駆逐艦として一定期間の任務を遂行した後、「子日」は艦種を変更されることになります。海軍の組織再編や艦艇の役割の見直しに伴い、1924年（大正13年）12月1日付で掃海艇へと種別を変更されました。これにより、主任務が敵艦艇との戦闘から、機雷の探索・除去といった掃海任務へと移行しました。掃海艇としての「子日」は、旧式化しつつも、新たな役割の下で数年間運用されました。

しかし、時代の流れとともに艦艇の更新は進み、「子日」もその生涯を終える時が来ます。掃海艇として数年間の活動を行った後、1928年（昭和3年）4月1日に帝国海軍の艦艇籍から除籍されました。これは艦艇としての公式な登録を抹消されることを意味します。除籍後、本艦は同年7月6日には「廃駆逐艦第13号」という仮称を与えられ、解体や処分を待つ状態となりました。そして、1929年（昭和4年）1月31日をもって最終的に廃船処分となり、その艦生に幕を下ろしました。命名から約24年間、竣工からは約23年半という期間、帝国海軍の一艦として活動した歴史を持ちます。

歴代の指揮官

「子日 (初代)」が駆逐艦および掃海艇として運用された期間には、多くの海軍士官が歴代の艦長または掃海艇長として指揮を執りました。彼らはそれぞれの在任期間において、本艦の練度維持や各種任務の遂行に努め、その運用を支えました。

まとめ

初代神風型駆逐艦「子日 (初代)」は、近代的な駆逐艦として生まれ、第一次世界大戦やシベリア出兵といった歴史的な出来事の中で任務を果たしました。後に掃海艇として役割を変え、最終的にその役目を終えて廃船となりました。その生涯は、明治後期から昭和初期にかけての帝国海軍の歩み、特に初期駆逐艦の運用と変遷を知る上で貴重な一例と言えるでしょう。

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