孝恭王

孝恭王（こうきょうおう）

孝恭王（885年? - 912年、在位：897年 - 912年）は、新羅第52代の国王です。姓は金、諱は嶢（ぎょう）で、第49代憲康王の庶子として生まれました。母は義明太后、妃は朴又謙の娘です。

生涯

孝恭王の誕生年については、崔致遠の文集に光哲3年（887年）7月5日に憲康王が亡くなった際、甥の嶢がまだ幼かったため、仲兄の定康王が臨時に国を治めたという記述があります。このことから、孝恭王は885年から887年の間に生まれたと推定されています。

897年、孝恭王は王位に即きましたが、当時の新羅は大規模な内乱、いわゆる後三国時代に突入していました。完山を拠点とする後百済の甄萱や、後高句麗の弓裔といった勢力が急速に領土を拡大しており、新羅の国力は衰退の一途をたどっていました。900年には甄萱が、901年には弓裔がそれぞれ王を称し、新羅の権威はますます低下しました。

孝恭王は、これらの勢力に対抗することができず、酒色に溺れる日々を送ったと伝えられています。その結果、新羅の領土は日増しに削られ、国は滅亡へと向かっていきました。

渤海に対する認識

孝恭王の時代には、渤海との外交関係も存在していました。897年、渤海が唐に対し、渤海の席次を新羅よりも上位にするよう要請しましたが、唐はこれを許可しませんでした。この件に関して、新羅の崔致遠が感謝の意を込めて執筆し、孝恭王から唐の皇帝である昭宗に宛てた公式な国書が『謝不許北国居上表』です。

この国書には、「渤海を建国した大祚栄は、高句麗領内に居住していた粟末靺鞨人であり、渤海は高句麗領内に居住していた粟末靺鞨人によって建国された」という記述があります。

『謝不許北国居上表』は、渤海が存在していた同時代の史料であり、新羅王から唐皇帝へ宛てた公式な国書であることから、史料的価値が極めて高い第一級の史料とされています。この国書は、当時の新羅が渤海をどのように認識していたかを知る上で、非常に重要な資料となっています。

孝恭王の治世は、新羅が滅亡へと向かう激動の時代であり、彼の決断と行動は、その後の歴史に大きな影響を与えました。

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