後高句麗

後高句麗の歴史

後高句麗（ごこうくり）は899年から918年まで存在した国家で、後三国時代の新羅で叛乱を起こした弓裔によって成立しました。弓裔は901年に高句麗の復興を掲げ、国号を高句麗と定めましたが、その政権全体を指すことが一般的です。

成立と変遷

弓裔は899年の挙兵時、自己の背景として新羅第48代景文王の庶子であることを主張しました。そして901年には松嶽（現・開城）への遷都を果たし、国号を高句麗に定めました。904年には正式に国号を摩震（摩訶震旦の略称）に変更し、年号を武泰としました。これを機に国家体制の整備が進められます。

さらに905年には鉄円に遷都し、911年には再び国号を泰封に改め、年号を水徳万歳としました。後高句麗は独自の年号や官制を制定し、新羅や後百済に対して優位に立つことができました。弓裔は自らを弥勒菩薩と名乗り、その神秘性を利用して権威を高めようとしましたが、次第にその専制的な政策が部下の反発を招くことになります。

918年、弓裔の最も信任の厚い部下であった王建による革命が勃発し、弓裔は王位を奪われました。王建は弓裔の権威を拒否し、一時は逃亡中に弓裔を殺害しました。後高句麗は滅亡しましたが、王建が名付けた国号「高麗」は高句麗の別称でもあり、高句麗の再興を目指す後継国家と位置付けられます。ただし、歴史学者の矢木毅は、王建が朝鮮の統一を目指して女真人からの馬の安定的供給を図るため、高句麗の継承を掲げたと指摘しています。

政教と仏教

後高句麗の統治でも、前の新羅と同様に仏教は重要な役割を果たしました。国王であった弓裔は自らを民衆を導く存在として「弥勒菩薩の化身」と称しました。彼は、新羅の王子でありながら、王室から見捨てられた立場にあり、成人後は世達寺で僧侶となり「善宗」と名乗りました。この背景が、弓裔が仏教の復興に熱心であった理由と考えられます。

弓裔は仏教の法律の一部を改正することに努め、宗教的な権威を強化しようとしました。彼の政策は、民衆の支持を得る手段となり、国家の安定にも寄与したと言えます。弓裔の政権は、歴史的な観点から見ても複雑で興味深い時代を反映しています。

文化の継承

後高句麗の文化には、仏教を中心にさまざまな宗教的要素が見られます。それにより、国民の連帯感やアイデンティティが形成されていきました。弓裔の時代に築かれたこれらの文化的要素は、その後の高麗や朝鮮律令国家の発展にも影響を与えたと考えられます。

高句麗から後高句麗、そして高麗へと続く流れは、韓国歴史の中でも特に重要な側面を成しており、政治と宗教が密接に結びついていたことを伝えています。

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