孟節

孟節について

孟節（もう せつ）は、中国の著名な通俗歴史小説『三国志演義』に登場するフィクションのキャラクターです。彼は物語の第八十九回に、南蛮王である孟獲の兄として描かれています。孟節は、両親を失った後、物欲に溺れていた弟たちにうんざりし、王城を後にして隠者としての生活を選びました。

彼は万安渓（ばんあんけい）という名の谷に身を隠し、「万安隠者」という名で数十年にわたり静かに暮らしていました。この期間、彼は自然の中で静かに過ごし、様々な知恵を蓄えたとされています。

蜀の南蛮征圧が行われた際、蜀軍の王平が部隊とともに毒に苦しむ事態に見舞われます。この情報を聞きつけた諸葛亮は、山の神からの助言を受け、孟節の草庵を訪れることにしました。孟節は、その時、高齢ながらしっかりとした目元で、竹冠を被り白い服を着て、黒い帯を締めた姿で諸葛亮を出迎えました。彼の碧眼白髪の姿は、見事に彼の知恵と経験を物語っていました。

孟節は蜀軍が直面している困難について深く理解しており、毒の治療に必要な安楽泉の場所を諸葛亮に案内しました。また、彼は蛮洞での水の調達方法や瘴気を取り除くための「薤葉芸香」という植物を提供し、蜀軍に対する支援を惜しみませんでした。

その後、諸葛亮から南蛮の王になることを薦められると、孟節はその申し出を丁重に断りました。彼は金銭や物の援助も一切拒み、自らの信念を貫いたのです。このエピソードは、孟節の人間性と道徳心を強く感じさせるものです。

さらに、彼はNHKの人形劇『三国志』にも登場しています。劇中では、毒泉や瘴気の対処法を蜀軍に教える役割を果たしますが、その後、伏波将軍である馬援の碑の前で、実は孟節が玄徳（げんとく）の化身であるとの秘密が明かされるという物語も付加されています。このエピソードは、玄徳の霊が孔明に告げる形で描かれており、孟節の神秘的な一面を強調しています。

総じて、孟節は『三国志演義』の中で、単なる脇役以上の存在を示しており、その知識と道徳心は物語の展開に深く影響を与えています。彼の生涯は、愚かさから離れた清らかな生き方を追求する姿が強く印象に残ります。

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