季節が君だけを変える

BOØWY 「季節が君だけを変える」：終末を彩る、一瞬の輝き

「季節が君だけを変える」は、1987年10月26日にリリースされたBOØWYの7枚目のシングルです。作詞は氷室京介、作曲・編曲は布袋寅泰が手掛け、アルバム『PSYCHOPATH』からのリカットとして発表されました。この曲は、BOØWYが解散を発表する前にリリースした最後のシングルであり、バンドの終焉を予感させるような、どこか切ない雰囲気が漂っています。

制作の背景

BOØWYは1987年2月24日、コンサートツアーの最終日に解散を決定。その後、ラストアルバムとして制作されたのが『PSYCHOPATH』でした。先行シングルを決定する際、「Marionette」と本作が候補に挙がりましたが、最終的にメンバーの意向で「Marionette」が選ばれました。しかし、アルバムのセールスが好調だったため、本作もシングルカットされることになったのです。

音楽性と歌詞

本作は、氷室が一度書き上げた歌詞を、布袋が「もっと深い、俺たちの関係を言葉にして欲しい」と要求し、書き直されたというエピソードがあります。布袋は曲自体を非常に気に入っていたものの、初期の歌詞の内容に満足せず、氷室に修正を依頼したのです。氷室もこれに応じ、歌詞を書き直しました。この歌詞の変更に関して、氷室は「そういう意味では特別かも知れないけどね、だからって特別な意味があるかっていったら、ないんだけどね」と語っています。

シングルバージョンでは、ミックスとアレンジが変更されており、前奏のエフェクト部分がカットされ、ギターが再録音されています。また、アウトロがフェードアウトとなり、アルバムバージョンよりも30秒ほど短くなっています。

リリースとチャート成績

1987年10月26日に7インチレコードでリリースされた後、1989年5月24日には8センチCDで再リリースされました。2013年にはCD-BOX『BOØWY SINGLE COMPLETE』にも収録されています。オリコンチャートでは最高位4位を獲得し、最終的には9.0万枚を売り上げました。

ミュージック・ビデオ

本作のPVは、BOØWYメンバーだけでなく、一般から募集された様々な職業の人々が登場します。日常社会の様々な場所にいる若者たちが一人ずつ映し出され、そこにBOØWYのメンバーが時折現れるという構成になっています。このPVは、当時10代であった若者をコンセプトにしており、ディレクターの子安次郎は「日本のビデオ・クリップ史上ベスト3に入る最高傑作」と評しています。しかし、一部のファンからはBOØWYメンバーがあまり映っていないため、不評だったという声もあります。

ライブ・パフォーマンスとカバー

本作は、最後のコンサートツアー「BOØWY ROCK'N'ROLL REVIEW DR.FEELMAN'S PSYCHOPATHIC HEARTS CLUB BAND TOUR」でのみ演奏され、「“LAST GIGS”」では演奏されませんでした。ライブ・アルバムには収録されておらず、ライブバージョンはライブビデオ『1224』でのみ見ることができます。また、朝本浩文 (Ram Jam World)、ムック、松下優也など、多くのアーティストによってカバーされています。

「季節が君だけを変える」は、BOØWYの終焉を彩る、美しくも切ない一曲です。歌詞に込められた深い感情と、印象的なメロディは、多くのファンを魅了し続けています。BOØWYの歴史を語る上で、決して欠かすことのできない重要な作品と言えるでしょう。

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