孤食

孤食とは

孤食（こしょく）とは、一人で食事をする際に孤独を感じる状態を指す言葉です。マスメディアによって比較的新しく作られた言葉ですが、単に一人で食事をすること自体を否定的に捉えるのは主観的な価値判断であるという意見もあります。しかし、孤食がもたらす影響については、様々な研究や調査によって明らかになってきています。

孤食の背景

孤食という言葉は、NHK特集「なぜ一人で食べるの食生活が子どもを変える」の中で、足立己幸氏の調査結果を基に生まれました。この調査では、家族が家にいるにもかかわらず、子どもが一人で食事をする実態が明らかになりました。この言葉は、一人で食べる食事と、家族で食べる食事である「共食」と対比して使われます。また、「個食」という言葉もありますが、これは家族が同じ食卓を囲んでも、それぞれ異なるメニューを食べることを指します。孤食は、必ずしも一人で食事をすること自体を指すのではなく、その背景にある孤独感に焦点が当てられています。

孤食の影響

孤食は、身体的および精神的な健康にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。

身体的な影響

- 栄養の偏り: 好きなものばかりを食べる傾向になりやすく、栄養バランスが偏ることがあります。
- 食生活リズムの崩れ: 一日三食をきちんと食べないなど、不規則な食生活になりがちです。

精神的な影響

- コミュニケーションの欠如: 他者との食事の機会がないため、コミュニケーション能力が低下する可能性があります。
- 社会性・協調性の低下: 集団での食事経験が少ないため、社会性や協調性が育ちにくい場合があります。
- 精神的不安定: 孤独感や不安を感じやすく、精神的な健康が損なわれることがあります。

子どもの孤食

調査によると、家族と朝食を食べる子どもは、孤食の子どもに比べて食欲があり、朝食と夕食の両方で主食・主菜・副菜が揃う割合が高いことが分かっています。また、不定愁訴も少ないという結果が出ています。高校生の孤食については、夕食の孤食は塾やアルバイトによる時間的な制約が原因であることが多いですが、別室で食べる孤食は家族関係や食卓に対する否定的なイメージが影響している場合があります。食卓を説教の場と認識していることが、孤食の要因になっている可能性も指摘されています。

高齢者の孤食

高齢者の孤食も社会問題として注目されています。70歳以上の高齢者の場合、昼食で約32%、夕食で約22%が一人で食事をしています。特に単身世帯の高齢者では、昼食と夕食の孤食率がそれぞれ81%と85%と非常に高くなっています。ただし、介護サービスを受けていたり、子どもが近くに住んでいる場合は、共食の確率が高まります。また、仕事や社会活動をすることで、共食の機会が増えることも示されています。

孤食への対策

孤食の解消には、家庭や地域社会の協力が不可欠です。子どもに対しては、家族で一緒に食事をする時間を作ること、高齢者に対しては、地域での交流や食事会に参加する機会を増やすことが重要です。また、一人でも安心して食事ができるような環境を整えることも大切です。コロナ禍を経て、一人で食事ができる飲食店が増えたことは、孤食に対する社会的な理解が深まった一例と言えるでしょう。

外部リンク

- 食から始まる健やかガイド - 厚生労働省 ([子供]]のいる家庭向けのパンフレット)
- [「食を通じた子どもの健全育成（いわゆる「食育」の視点から）のあり方に関する検討会」報告書について - 厚生労働省

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