孤高のストレンジャー

『孤高のストレンジャー』（Stranger in Us All）は、リッチー・ブラックモア率いるハードロックバンド、レインボーが1995年に発表したスタジオアルバムです。1983年の『ストリート・オブ・ドリームス』以来、実に12年ぶりとなる待望の新作として、大きな注目を集めました。

制作の背景

1993年11月、リッチー・ブラックモアは再びディープ・パープルを脱退し、自身のソロプロジェクトに着手します。当初、バンド名は「ムーン」と発表されましたが、「レインボー・ムーン」を経て、最終的にはレコード会社の意向により「レインボー」として再始動することになりました。

新生レインボーのメンバー

ボーカリストには、ミッドナイト・ブルーやプレイング・マンティスで活躍していたドゥギー・ホワイトが迎えられました。彼は加入後わずか2日間のリハーサルで、ブラックモアと共に新作の楽曲を3曲も共作したといいます。その他、キーボードにポール・モリス、ベースにグレッグ・スミス、ドラムスにジョン・オライリィが参加し、新たなレインボーのサウンドを担うこととなりました。

アルバムの内容

本作には、後にブラックモアとブラックモアズ・ナイトを結成するキャンディス・ナイトがバックグラウンドボーカルとして参加し、ブラックモアらと4曲を共作しています。彼女の参加は、レインボーの音楽性に新たな彩りを添えることとなりました。

収録曲の中には、エドヴァルド・グリーグの『ペール・ギュント』からの「山の魔王の宮殿にて」を編曲した「ホール・オブ・ザ・マウンテン・キング」や、ヤードバーズが1965年に発表した「スティル・アイム・サッド」のカバーも含まれています。「スティル・アイム・サッド」は、レインボーがデビューアルバム『銀嶺の覇者』（1975年）でも取り上げており、今回で2度目のカバーとなります。

反響と評価

『孤高のストレンジャー』は、イギリスやアメリカでは大きな成功を収めることはできませんでしたが、ヨーロッパの一部の国や日本では大ヒットを記録しました。フィンランドのアルバムチャートでは6位にランクインし、6週連続でトップ40入りを果たしました。日本ではオリコンチャートで7位に達し、1995年9月には日本レコード協会によってゴールドアルバムに認定されています。スウェーデンでは2週連続で8位となり、レインボーのアルバムとしては4作目のトップ10入りとなりました。

AllMusicのブレット・アダムスは、本作に5点満点中3点を付け、「ドゥギー・ホワイトは真っ当で極めて有能なハードロック・ボーカリストだが、ロニー・ジェイムス・ディオ、グラハム・ボネット、ジョー・リン・ターナーほど突出していない」と評価しました。しかし、「ハンティング・ヒューマンズ（インセイシャブル）」と「ブラック・マスカレード」については、「かつてのレインボーのエネルギー、ドラマ、ダイナミクスを再現しているという意味で突出した2曲」と賞賛しています。

本作は、リッチー・ブラックモアが新たなメンバーと共に、レインボーの新たな可能性を追求した意欲作と言えるでしょう。

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