学園特捜ヒカルオン

学園特捜ヒカルオン

『学園特捜ヒカルオン』は、1987年1月28日にエモーション（現：バンダイビジュアル）より発売された、30分のOVAです。本作は特撮ファンに長年愛されている宇宙刑事シリーズへのオマージュを表現した学園SFアクション作品です。このOVAは、エモーションのヤングアダルト向けレーベル「C-MOON」のために制作されたため、従来の子供向け特撮作品にはない、過激な暴力描写や出血シーンが取り入れられています。

物語の舞台は私立凌徳学園高等学校であり、主人公の高校生・四方堂光が、美しい教師・葉月あづみと共に影の科学捜査組織「学園特別捜査委員会」の一員として正体を隠しながら悪と戦う姿が描かれています。しかし、ストーリーが進むにつれ、あづみは超自然的な力を持つチンピラたちに襲われ、彼女を救おうとした光は、ファイティングスピリッツ・スーツを装着し、超人戦士ヒカルオンに変身します。何人かの生徒が自殺している不審な事件も絡み合い、物語は緊迫感を増していきます。

本作の制作には、宇宙刑事シリーズの大ファンであるアニメーター・越智一裕が主な役職を手掛け、彼のビジョンが強く反映されています。また、音楽は宇宙刑事シリーズで知られる渡辺宙明が手がけ、主題歌は串田アキラの独特の声によって彩られています。越智が選んだ光役の声優には、当時新人の関俊彦が起用され、他にも多くの名声優がキャストに名を連ねています。特に、ストーリーの中で重要な役割を果たす葉月あづみを演じる土井美加の存在感は、多くの視聴者に強い印象を残しました。

さらに、原作や作画、作画監督に関しても多くの才能が集められ、金田伊功や田村英樹、那州雪絵といった著名なアニメーターが参加しています。彼らの手により、作品のアクションシーンは各々の個性的なスタイルで描かれ、動きが豊かでダイナミックとなっています。さらに、亀垣一などが実写キャラクターの撮影を担ったことで、映像作品としての完成度も飛躍的に向上しました。

放送は、1988年3月30日によみうりテレビで始まり、後にAT-Xでも放送され、多くの視聴者を魅了しました。OVAのリリース後、LD化もされたものの、長らく再販やDVD化は行われず、いわゆる絶版状態にありました。しかし2022年には、35ミリネガフィルムを用いた高画質なBD版が発売され、再び注目を集めています。

この作品は、アニメ・特撮ファンにとって思い出深い重要な作品であり、多くの特撮作品に影響を与えました。特に暴力や性描写の新たな表現を試みたことは、当時のアニメ界に新たな風潮をもたらし、多くの人々に刺激を与えることとなりました。『学園特捜ヒカルオン』は単なるエンターテインメントにとどまらず、文化的な背景や制作チームの熱意が感じられる、ファンにとっての価値ある作品です。

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