宇井伯寿

宇井伯寿について

宇井伯寿（うい はくじゅ）は、1882年6月1日に愛知県宝飯郡御津町に生まれた日本の僧侶であり、インド哲学の研究者、仏教学者としても著名です。彼は東京帝国大学において文学博士の学位を取得し、その後も多くの教育機関で講師として教鞭を執りました。彼の教育的な貢献は、後進の育成を通じて日本の仏教学や哲学の発展に大きな影響を与えました。

幼少期と出家

彼の幼少期は、12歳で曹洞宗の寺院である東漸寺にて出家し、伯寿と名乗ることから始まります。その後、名古屋曹洞宗専門支校や旧制京北中学校を経て、東京帝国大学の印度哲学科に進学しました。そこで高楠順次郎のもとでの学びを通じて、インド哲学に対する深い理解を深め、卒業後は教育者としての道を歩むこととなります。

学術的・教育的活動

卒業後、彼は曹洞宗第一中学林（現・世田谷学園中学校・高等学校）や曹洞宗大学（現・駒澤大学）で講師としての活動を開始しました。さらに、1913年からドイツのテュービンゲン大学やイギリスのオックスフォード大学に留学し、西洋哲学とインド哲学との関連性についての理解を深めました。1923年には東北帝国大学法文学部の教授に就任し、さらに1930年には東京帝国大学の教授としても活躍しました。1943年までその職務に従事し、多くの学生に対して指導を行いました。

受賞歴と業績

彼の研究業績は多岐にわたり、特にインド哲学に関する作品が高く評価されています。1931年には『印度哲学研究』によって学士院賞を受賞し、1953年には文化勲章も授与されました。また、1936年には『国体の本義』の編纂委員として活動し、仏教の視点から社会に貢献しました。

学長としての役割

1941年に曹洞宗本庁から駒澤大学の学長に任命され、1945年には帝国学士院会員に選出されました。その後も慶應義塾大学、早稲田大学、学習院大学、名古屋大学などで客員講師として多くの学生に影響を与え続けました。彼の知識と見識は広く認められ、大学教育の向上に寄与しました。

著作と影響

宇井伯寿は多数の著作を残しています。重要な著作には『仏教辞典』や『仏教思想研究』、『インド哲学史』などがあり、これらの著作は今なお多くの研究者に引用され、学術的な基盤を提供しています。また、彼の弟子である中村元も彼の教えによって育成された著名な哲学者です。

家族

彼の家族の中には、薬理学者である五男の宇井理生がいます。宇井理生は、父である宇井伯寿の業績について回想を記録しており、彼の影響と教えが次世代に受け継がれていることを示しています。

まとめ

宇井伯寿は、日本の仏教と哲学の分野において重要な存在であり、その指導力や学術的成果は多くの人々に影響を与えました。彼の死後もその遺業は生き続け、今後も彼の研究が新たな知見を生むことが期待されています。彼の墓所は多磨霊園にあります。

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