宇品島

宇品島（うじなじま）

広島県広島市南区に位置する宇品島は、瀬戸内海に浮かぶ美しい島です。本土とは暁橋で繋がっており、気軽にアクセスできます。この記事では、宇品島の地理、歴史、観光スポットについて詳しく解説します。

地理

宇品島の面積は約0.47平方キロメートル、標高は57メートル、周囲は約3キロメートルと小島です。島の大部分は花崗岩で構成されており、海蝕崖や海蝕洞などの地形が見られます。島の西半分は瀬戸内海国立公園の特別地域である元宇品公園となっており、手付かずの自然が残されています。特に、第二次世界大戦後に国立公園に編入されて以降、伐採が禁止されているため、クスノキやカクレミノなどの常緑広葉樹の原生林が広がっています。樹高20メートルを超えるコジイの林は、学術的にも貴重です。

歴史

「宇品」という地名の由来は定かではありませんが、いくつかの説があります。元和5年の『安南郡絵図』に「牛奈島」とあることから、島の形が牛の伏せた姿に似ているため「牛ノ島」と呼ばれ、それが転じたという説や、広島湾がかつて「江の内」と呼ばれていたことから、「内の島」が転じたという説があります。

築港と架橋

1883年（明治16年）に宇品港（現在の広島港の前身）の建設が始まると、周辺の漁民は生活の糧を失う危機に瀕しました。しかし、県令の千田貞曉の尽力により事態は収束したものの、補償金はなく、多くの漁民が職を失い、移住や出稼ぎを余儀なくされました。

宇品港建設によって宇品島と本土が陸続きになったものの、船舶の通行が妨げられるという問題が発生しました。そこで、地元の有志が架橋運動を行い、1893年（明治26年）に石堤の一部を切り開いて「眼鏡橋」が架けられました。その後、1943年（昭和18年）に陸軍によって橋が架け替えられ、「暁橋」と改名されました。

広島市への編入

1904年（明治37年）9月、宇品島は広島市に編入されました。市制施行後、初の市域拡大でした。編入後、島名は宇品町との混同を避けるため、「元宇品町」と改称されました。

軍事拠点としての役割

日清戦争以降、宇品島は軍事拠点として重要な役割を担いました。1919年（大正8年）には宇品造船所が操業を開始し、軍用船を建造しました。原爆投下時には、宇品島でも家屋に被害が出ましたが、住民の多くは無事でした。戦後は、島内の兵舎が旧制山陽中学校の仮校舎として使用されました。現在でも、島内には高射砲陣地跡や宇品灯台などの戦争遺構が残っています。

観光開発

宇品島では、戦前から観光開発が行われてきました。1922年（大正11年）には、リゾート施設「宇品別世界」が開業しましたが、経営不振により短期間で閉鎖されました。その後、広島市主催の博覧会が開催され、プールや水族館などが建設されました。1958年（昭和33年）には、私設の「宇品天然水族館」が開館し、多くの観光客で賑わいました。1994年（平成6年）には、グランドプリンスホテル広島が開業し、国際会議やイベントの会場として利用されています。

現在の宇品島

宇品島は、豊かな自然と歴史的な背景を持つ魅力的な島です。瀬戸内海国立公園に指定された美しい自然、日清戦争から終戦までの軍事施設の跡、そしてG7広島サミットの会場となったグランドプリンスホテル広島など、見どころ満載です。広島市を訪れる際には、ぜひ宇品島にも足を運んでみてください。

もう一度検索