宇喜多興家

宇喜多興家に関する詳細

宇喜多興家（うきた おきいえ）は、戦国時代の武将であり、備前国（現在の岡山県）の国人であった宇喜多氏の一族と伝えられています。しかし、その実像は史料が乏しく、不明な点が多い人物です。

生涯

伝承によれば、興家は浦上氏の家臣である砥石城主・宇喜多能家の嫡男として生まれたとされています。しかし、近年ではこの説にも疑問が呈されており、興家自身の存在すら否定されることもあります。

興家の生涯に関する最も古い記述としては、島村一族の元服前の子供衆との諍論が原因で殺害されたという説があります。この際、喧嘩両成敗として子供衆も殺害され、その調停に島村盛貫が関与したとされています。この事件は、後世の物語の中で、盛貫による興家殺害、さらには盛貫の名前が誤記された盛実による殺害、史料上確認できない観阿弥による能家殺害、そして直家による仇討ちへと発展していきました。

また、宇喜多家ゆかりの光珍寺の過去帳には、興家の命日が「天文五年六月晦日」と記されています。

説話

大永4年（1524年）、父・能家から家督を譲られたとされていますが、天文3年（1534年）には父が島村盛実に砥石城を攻められて自害したとされています。その後、興家は子の直家を連れて備後国鞆津まで落ち延びたと伝えられています。

その後、備前福岡の豪商・阿部善定に庇護され、その娘を娶り、忠家、春家の二人の男児を儲けました。

別の説では、『常山紀談』によると、興家は愚かであったため、阿部定善に養われ、牛飼童となり、後に召使の下女を娶って直家、忠家、春家の3人の子を儲けたとされています。

天文5年（1536年）に病死したとされていますが、没年を天文9年（1540年）とする説もあります。また、家臣たちから暗愚であると見なされ、そのストレスで自害し、その事実を隠すために病死したと偽ったという説もあります。ただし、直家は興家の自害を見抜いていたとも言われています。

興家は、家督を譲られて家長となっていたにもかかわらず、抵抗せずに城を明け渡して逃亡したことから、後世には暗愚であったと評価されることがありますが、宇喜多の家名と幼い直家を守るために、あえて暗愚を装っていたという説もあります。

興家の家督継承に関する新展開

興家の名前が初めて登場するのは、直家の時代から150年ほど経った『和気絹』であり、延宝6年（1678年）に記された『西国太平記』では「父某が島村観阿弥に殺された」とされています。

近年発見された文書によれば、天文10年〜同12年（1541年〜1543年）に、山科言継が山科家領の年貢催促を晴政（赤松晴政あるいは中山晴政）と宇喜多和泉守に依頼していることがわかっています。この文書から、同時期まで能家が生きていたか、または能家の後継者である宇喜多和泉守が後継者として活躍していたことが確認され、興家の宇喜多家継承や能家との親子関係も疑問視されています。

これらのことから、宇喜多興家という人物は、歴史の中で創作された可能性や、実在したとしても伝承と異なる生涯を送っていた可能性も否定できません。

まとめ

宇喜多興家は、多くの謎に包まれた人物であり、その実像を解明するためには、今後の史料発見や研究が待たれるところです。

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