宇治 (砲艦・初代)

「宇治」：日本海軍の砲艦

「宇治」は、日本海軍が保有する砲艦の一隻で、艦名は京都の宇治川に由来しています。1903年に竣工し、主に南清警備などの任務に従事しました。本艦艇の設計は、河川用として作られた浅喫水砲艦であり、外国との接触や防衛活動において重要な役割を果たしました。

1. 艦艇の計画と建造

「宇治」は、第二期拡張計画の一環として、1901年に建造が決定されました。当初は水雷砲艦の建造が予定されていましたが、技術の進歩によりその計画は見直され、最終的には三等巡洋艦と浅喫水砲艦の建造が決定されました。計画当時の予算は269828.09円で、1902年4月より建造が始まり、1903年に竣工しました。

2. 艦型と外観

「宇治」は独特な艦型で、1本のマストと煙突を持つデザインです。河川に適した浅喫水型ではあるものの、外海でも運用可能な性能を持っていました。これは、日本海軍が清国沿岸での派遣用に設計した初めての艦艇となった点でも特筆されます。

3. 機関と推進力

艦の機関は、艦政本部第4部によって設計され、直立3気筒のレシプロエンジンを2基搭載しています。蒸気圧力は210 psiで、推進器は3翼のグリフィス型を使用しています。これによって、艦は必要な高出力を持ち、安定した航行が可能でした。

4. 装備

本艦の武装は、12ポンド速射砲3門、マキシム機銃3門と多岐にわたります。その他にも探照灯や無線電信機を取り揃え、近代的な艦船としての体裁を整えていました。乗員は当初計画88名であり、いくつかの改訂を経て最終的に91名となりました。

5. 艦歴

「宇治」は、竣工後すぐに南清警備に従事しました。特に日露戦争では、長崎を出港し南満州や朝鮮北部での警備活動に従事しました。また、第一次世界大戦にも参加し、中国方面での警備にあたった歴史があります。

6. 変遷と最終時

艦型や武装の変更が行われ、1912年に特定修理が施されました。その後も長年にわたり運用され、1936年には特務艇に編入されました。しかし、老朽化が済み、修理費用の多さから最終的には廃船が決定されました。

「宇治」は、日本海軍の歴史において非常に重要な存在でした。その技術的な革新性と、外交的任務を遂行した背景から、多くの海軍関係者の記憶に残っていることでしょう。

もう一度検索