宇治トンネル

宇治トンネルの概要

宇治トンネル（うじトンネル）は、日本の京都府宇治市に位置する京滋バイパスの自動車専用トンネルです。このトンネルは、笠取ICと宇治東ICの間にあり、上り線が4304メートル、下り線が4314メートルの長さを持っています。また、内訳として、換気所が2か所（上下線それぞれ1か所）あり、上り線には集塵機室が3か所、立坑が2か所設けられています。

トンネルは、京都府南西部の比良山地を通過し、標高300から350メートルの地域を貫通しています。計画当初から高い利用が見込まれることから、防災に関する設計が重視され、防災等級はAAに設定されています。1984年に掘削作業が始まり、約3年半かけてすべての工程が完了しました。このプロジェクトは、当時、日本道路公団による一般有料道路事業として施工されました。完成した際、宇治トンネルは全国で第7位の長さを誇っていました。

施工の詳細

宇治トンネルの施工は、特にその地質的特性によって挑戦されました。西坑口付近の地盤は、大鳳寺川流域に位置し、土かぶりが0.7メートルから3メートル程度と非常に薄い箇所があります。このため、地山のもろさや伏流水の影響を考慮し、セメント系固化材を用いた地盤改良工事が実施されました。さらに、掘削開始から100メートルから150メートルの区間では、湧水が毎分50リットルから200リットル発生するため、集水井を設置して効率的に水を排出し、施工環境の改善を図りました。

西坑口から約350メートルの区間では、上半先進NATM（新オーストリアトンネル工法）が導入され、内空の変位や天端沈下は許容範囲内に収められました。また、全体の9割以上にあたる古生層での掘削では、発破を利用した上半先進NATM工法が採用され、地山の特性に応じた詳細な対策が必要とされました。

特に粘板岩は硬質ではあったものの、微細な亀裂が多発し、肌落ちが見られました。これに伴い、補強用ボルトの打設や吹付コンクリートによる補強が行われました。また、断層破砕帯では変位が大きくなることがあるため、適切な補強措置が施されました。

換気所の設置

宇治トンネルには複数の換気所が設けられており、排気坑や送気坑が立坑と接続しています。これらは、トンネルの通行車両の排気を効果的に管理するために必要不可欠です。換気所のエリアは、その特性上、トンネル内の応力やゆるみが大きくなるため、施工前には有限要素法による解析および弾性波探査による調査が行われました。機械室の断面積が広がるため、慎重な施工が求められましたが、事前の計画により適切な補強が行われ、安定した地山を保持することができました。

天井板の撤去

開通当初、上り線には換気のために設置された天井板が4箇所ありましたが、2013年に笹子トンネルの天井板落下事故を受けて、安全性を考慮しこれらは撤去されました。これにより、トンネル内の安全性向上に寄与することができました。

沿革

宇治トンネルは、1988年8月29日に正式に開通し、その後も重要な交通路として機能しています。トンネルの整備は、地域の交通インフラを支え、より安全かつ効率的な移動を可能にする要素となっています。

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