宇治紫文

宇治紫文の歴史と家系

宇治紫文（うじ しぶん）は、一中節の三味線方において特に著名な名跡であり、代々続く都派の宇治派の家元として位置付けられています。江戸時代から現代に至るまで、多くの芸術家がこの名を受け継ぎ、それぞれの時代において新たな曲を生み出してきました。

初代宇治紫文

初代宇治紫文は、寛政3年（1791年）に生まれ、本名を勝田権左衛門といいます。江戸の浅草に住み、名主を務めていました。彼は一中節の菅野派の家元である2代目菅野序遊の弟子となり後に都派に転向、都一閑斎と名乗りました。1849年には宇治紫文斎という名を名乗り、宇治派を確立しました。一生の間に数十曲に及ぶ新曲を作成し、音楽の発展に貢献しました。

2代目宇治紫文

2代目宇治紫文は、初代の実子で名は福太郎。彼は初めは初代宇治紫鳳を名乗り、1859年に2代目宇治紫文を襲名しました。1875年には隠居し、宇治閑斎翁と名乗るようになりました。初代の教えを受け継ぎながら、彼もまた宇治派の名を広げました。

3代目宇治紫文

3代目については、天保5年（1834年）に生まれ、本所で育ちました。家業は質屋でしたが、1855年の安政江戸地震で自宅が倒壊し、呉服業に転業しました。また、初代菅野序柳になり、その後三味線の糸商に転身。最終的には宇治派に参加し、1875年に3代目宇治紫文を襲名。彼は「葵の上」や「廓文」といった楽曲を制作しました。

4代目宇治紫文

4代目は、明治14年（1881年）に出生し、本名は鈴木喜久です。3代目紫文の孫娘で、彼女は家族からの伝統を受け継ぎ、4代目宇治倭文、さらには1921年に4代目紫文を襲名しました。彼女は古典芸能を守りつつ新たな表現を追求しました。

5代目宇治紫文

明治19年（1886年）3月、愛知県名古屋市で生まれた5代目宇治紫文、名は中村久江。彼女は4代目紫文から一中節を学び、長い修行を経て、1947年に5代目宇治倭文を襲名。1949年には5代目紫文を名乗り、家元としての役割を果たしました。名作「須磨の月」を残しました。

6代目宇治紫文

明治44年（1911年）生まれの6代目宇治紫文、本名岩城采子。彼女は大阪で生まれ、4代目紫文に師事し1943年には宇治文を名乗りました。1968年に5代目紫文が引退した後、6代目として新たな時代を切り開きました。

7代目宇治紫文

現役の7代目宇治紫文は、昭和8年（1933年）に生まれ、本名は梅津ふじです。彼女は山形県で育ち、音楽に対する情熱を持って多くの学びを経て、1983年と1985年には芸術祭で優秀賞を受賞。1992年に7代目紫文を襲名し、様々な受賞歴を持つ素晴らしい芸術家として活動しています。「旭日中綬章」の受章や人間国宝への認定もされています。

総括

このように、宇治紫文は代々続く家系を通じて演奏や作曲を行っています。彼らの努力と情熱は、日本の音楽文化を貴重な形で守り、発展させることに寄与しています。

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