宇津野駅

宇津野駅（うつのえき）

宇津野駅は、かつて岩手県下閉伊郡岩泉町に設けられていた日本国有鉄道（国鉄）小本線の鉄道駅です。後の東日本旅客鉄道（JR東日本）岩泉線の一部となりましたが、路線延伸に伴い廃止されました。

概要

この駅は、小本線がまだ全線開業していなかった時代に存在しました。隣駅である押角駅から路線が延びた際の、一時的な終着駅として暫定的に設置されたものです。具体的な位置としては、押角トンネルの岩手大川側の坑口付近にありました。岩泉線が現役で運行されていた当時、岩泉方面へ向かう列車に乗車し、長い押角トンネルを抜けた直後に、進行方向左手に広く平らな土地がかつての駅跡として見えていました。駅へのアクセスは、並行する国道340号から木製の橋を渡る形でした。

歴史

宇津野駅は、小本線の押角駅とこの駅との間が開通したことに伴い、1947年（昭和22年）11月25日に開設されました。開業時は終着駅でしたが、翌年の1948年（昭和23年）11月26日、アイオン台風による大規模な風水害のため、小本線全線が不通となり、営業を休止しました。その後、災害からの復旧が進み、1949年（昭和24年）3月5日に営業運転を再開しています。

この駅がその役目を終えるのは、1957年（昭和32年）5月16日のことです。小本線が宇津野駅からさらに先の浅内駅まで延伸開業したため、終着駅としての地位を失い、廃止されました。ただし、公式な廃止日以後も、しばらくの間は一部の列車が停車していたとの記録も残されています。

駅構造

宇津野駅は、列車と乗降するための単式ホームが1面、線路が1線という構成の地上駅でした。駅舎としては木造の建物が存在しており、これは駅が廃止された後も長らく残り、1990年代後半頃まで確認されています。廃止後も完全に撤去されることなく、保線作業を行う作業員のための待合室として活用されていた時期があったようです。

駅周辺

駅の所在地周辺には、宇津野という名の集落があります。この集落は、駅があった場所から見て、国道340号とそれに並行して流れる川を挟んだ反対側に位置していました。駅の入口付近には、廃墟となった建物も存在していました。また、この地域は難所として知られる押角峠の近くであり、長大な押角トンネルが印象的な区間でした。

駅跡地の利用と岩泉線の廃止

宇津野駅の跡地は、後年になって再び注目される出来事がありました。2010年（平成22年）7月31日に岩泉線で発生した土砂崩れ事故の際、被災した車両を安全な場所へ移動させるため、この駅の跡地が輸送場所として利用されたのです。この事故により岩泉線は不通状態となり、復旧には相当な時間がかかると見込まれました。そのため、地元からは宇津野駅を復活させ、茂市駅から宇津野駅までの区間だけでも運行を再開してほしいという意見が出されました。しかし、JR東日本側は、この区間にも安全確認のための調査が必要な箇所があるとして、実現は困難であるとの見解を示しました。結局、この区間運転再開の要望は実現することなく、岩泉線は2014年4月1日をもって全線が廃止されることとなりました。

隣の駅

日本国有鉄道（国鉄）小本線

押角駅 - 宇津野駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
押角峠
* 押角トンネル

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