岩泉線

岩泉線の概要

岩泉線（いわいずみせん）は、岩手県宮古市の茂市駅から岩泉町の岩泉駅までを結んでいたJR東日本の鉄道路線でした。この路線は、第二次世界大戦中に耐火煉瓦の原料として使用される耐火粘土を輸送するために建設されたもので、国鉄の特定地方交通線に指定されていた特殊な歴史を持っています。

歴史のはじまり

岩泉線の開業は1922年に遡り、鉄道敷設法に基づいて計画が立てられました。しかし、本格的な建設は戦争が影響し、実際には1942年からの小本線として運行が開始されました。この小本線は茂市駅から岩手和井内駅まで開業し、その後押角駅、宇津野駅、最終的には1957年に浅内駅まで延長しました。

その後、岩泉町が地域の発展を目指し、鉄道の延伸を強く求めた結果、1968年から1972年にかけて岩泉駅までの区間が建設され、これにより岩泉線は全通を果たしました。開通当初は観光客の増加に伴い、一時的な利用者増が見られました。しかし、その後は利用者数が減少していくことになります。

特定地方交通線への指定

1980年には、国鉄再建法に伴い岩泉線は特定地方交通線に指定され、沿線自治体や住民から廃止反対の声が上がりましたが、実績に基づく輸送密度は非常に低く、1982年には貨物営業が廃止されてしまいました。このため、代替交通手段としてバスの運行が検討されましたが、地元からは「充分なバス運行は無理」との声もあり、論争は絶えませんでした。

初めは廃止から逃れた岩泉線ですが、1990年代に入ると利用者数がさらに減少し、最終的には2009年度の輸送密度が46人/日という極端に少ない数値にまで落ち込みました。

土砂崩れと廃止

2010年7月31日、岩泉線は押角駅から岩手大川駅間で土砂崩れによる脱線事故に見舞われ、その影響で全線運休となりました。2012年3月にはJR東日本が鉄道復旧を断念し、バスでの代替輸送を続ける方針を発表。この決定が地元住民や自治体に衝撃を与え、存続を求める声が上がったものの、最終的には2014年4月1日をもって岩泉線は廃止されました。

廃止後の状況

岩泉線の廃止後、鉄道の施設や用地は自治体に譲渡され、さらには国道340号のトンネルとしてリノベーションされるなどの変化を遂げていきました。他にも、押角トンネルを利用した道路の改良なども行われ、地域の交通網としての役割を担うようになりました。このように、岩泉線はその歴史を経て新しい形に生まれ変わっています。

総括

岩泉線は、地域の発展と鉄道の存続を巡るさまざまな問題が複雑に絡み合った歴史を持つ路線でした。利用者数の減少、 急速な道路網の整備、そして最終的な廃止に至る経緯は、地方 railway network が直面する厳しい現実を映し出しています。廃線となった後も、地域の人々にとって重要な交通ルートとしての役割を果たす試みが続いています。

もう一度検索