宇部興産ビル

宇部興産ビルの概要

宇部興産ビル（うべこうさんビル）は、山口県宇部市にあるオフィスとホテルが共存する複合ビルです。このビルは、宇部興産が中心となって建設され、オフィス棟には同社の本社機能の一部が設けられています。ホテル棟にはANAクラウンプラザホテル宇部が存在していますが、2024年3月31日をもって営業を終了することが発表されました。

建設の背景

宇部興産ビルは、当時の社長である中安閑一が、宇部市が国際都市として成長するための起点となるような施設を目指して構想したものです。外国の要人も宿泊できるホテル、国際会議を行える会議場、そしてオフィスを備えたこのビルは、全日本空輸の協力の下、山口宇部空港への路線開設とともに実現しました。設計は村野藤吾が施し、1982年3月23日に着工、1983年10月29日に完成し、11月1日に開業しました。村野の生前最後の作品であり、1985年には第26回BCS賞を受賞しました。

所有権と運営

2001年には宇部興産がビルの所有権を住友信託銀行に信託しました。その後、オリックスに売却された第一受益権を受けて、三井住友信託銀行とUBEがマスターリース契約を締結し、テナントへの転貸を行う形で運営されています。2023年10月にはANAクラウンプラザホテル宇部の営業終了が発表され、今後のホテル部分の運営は見通しが立っていませんが、売却先を探している段階です。

ビルの構造と設備

宇部興産ビルはL字型の高層棟と低層棟から構成されています。高層棟はオフィス棟とホテル棟に分かれ、低層棟は国際会議場となっています。低層棟の1階はピロティのスタイルを採用しており、当初は噴水が設けられていましたが、後に駐車場として改装されました。また、ホテル棟南側には日本庭園も設置されています。

外壁には、村野藤吾が指定した「マホガニーレッド」と呼ばれる希少な花崗岩が使用されています。この石材は、アメリカから原石を輸入し、日本国内で加工されています。ビル完成時には、宇部市出身のアーティストたちの作品が各階に展示されていました。

アクセスと周辺環境

交通の便も良く、山口宇部空港からは車で約10分、JR宇部線の宇部新川駅からは徒歩5分で到着します。このビルは地域の中心的存在として、宇部商工会議所や宇部興産の本社機能、商社など多くの事業所が入居しています。

沿革

• - 1982年: 3月23日 着工
• - 1983年: 10月29日 竣工、11月1日 開業
• - 2001年: 所有権が住友信託銀行に信託され、第一受益権がオリックスへ売却
• - 2024年: 2月26日 みどりホールディングスがビルの土地・建物の所有権を取得

このように、宇部興産ビルは85年の歴史を持ち、地域の経済や文化のシンボルとして今後もその役割を果たすことが期待されています。

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