宇都宮泰宗

宇都宮 泰宗（うつのみや やすむね）

宇都宮泰宗は、鎌倉時代中期から後期にかけて活躍した武将であり、宇都宮氏の6代目の当主にあたります。彼の名は、初名の盛宗から改名されたものであり、その由来には安達泰盛から一字を得たとされる経緯があります。しかし、霜月騒動によって泰盛が討たれた後に名前を改めたという説も存在します。

生涯

泰宗は、下野国守護の宇都宮貞綱の弟として誕生しました。彼は元寇の際、貞綱が北条時宗の命を受けて蒙古討伐軍の総大将として九州に出征した際に同行し、筑後国の大木城を拠点としました。この地には、藤原氏の流れを汲む徳大寺家の荘園があり、泰宗はその荘官としての役割も担っていました。

彼の子孫については、嫡男である武茂時綱が常陸国武茂庄を相続し、時綱の曽孫にあたる持綱は宇都宮氏の宗家を受け継ぎました。持綱の外孫である芳賀正綱も武茂氏を継ぎましたが、正綱自身が宇都宮明綱の死後に宇都宮宗家を引き継いだため、正綱の三男・兼綱が武茂氏の当主となりました。

また、泰宗の次男である貞泰は伊予国の地頭として根来山城を本拠地にし、伊予宇都宮氏の基盤を築きました。その後、彼の子孫は豊前宇都宮氏として知られるようになり、さらに筑後宇都宮氏の祖となる運命を辿りました。

興味深いことに、市村高男は著作『尊卑分脈』の中で、宇都宮貞宗が泰宗の嫡男であると記述し、鎌倉時代の最末期に伊予守護として確認される貞宗の実在を泰宗の子と位置づけています。また、貞宗が世襲で守護職を引き継いだ可能性を指摘し、実質的には泰宗が伊予宇都宮氏の初代であったと考えられています。

このように、宇都宮泰宗は彼自身の武将としての業績だけでなく、子孫の形成にも大きな影響を与えた人物です。彼の遺した足跡は、宇都宮氏の歴史において重要な位置を占めており、その影響は時代を超えて後世にも連なっていくのです。彼の生涯とその周囲の人々を通じて、鎌倉時代の武士たちの生活や価値観、政治状況を垣間見ることができます。

参考文献

• - 市村高男 著「中世宇都宮氏と美濃・伊予 - 美濃宇都宮氏の発見」
• - 江田郁夫 編『中世宇都宮氏 一族の展開と信仰・文芸』戎光祥出版 2020年1月.

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