宇都宮貞宗

宇都宮貞宗の生涯と業績

宇都宮貞宗（うつのみや さだむね、生没年不詳）は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて存在した日本の武士です。彼は宇都宮泰宗の嫡男として知られており、異母兄には武茂時綱、実弟には宇都宮貞泰がいます。貞宗は官途名を三河権守としており、特に伊予国の守護としての役割が重要な位置を占めています。

経歴の概要

貞宗に関する情報は数少なく、宇都宮氏の系図にもほとんど名前が見当たりません。しかし、『尊卑分脈』における記載や元弘の乱での彼の戦闘に関する記録から、実在の人物であることが確認されています。父である泰宗の死後、貞宗はその後を継いで伊予守護に任命されたと考えられています。

元応元年（1319年）には、安芸国の小早川朝平が海賊を捕えた際に、「伊与守護人狩野三河三郎貞宗」として六波羅探題に報告を行ったという記録があります。この「狩野三河三郎」が貞宗を指すものであり、彼がすでに伊予守護の地位にあったことを示唆しています。

反幕府勢力への参加

元弘の変の際には、宇都宮高綱とともに楠木正成討伐に参加し、「宇都宮三河守」として知られる存在となりました。しかし、反幕府の動きがある中で急遽帰国し、兄弟である宇都宮遠江守（貞泰）や武茂時綱と連携して幕府側に対抗しました。反幕府勢力における彼の記録は、軍忠次第注文にも「府中守護三河権守貞宗」と明記されています。

鎌倉幕府滅亡後の動向

鎌倉幕府滅亡後、貞宗の動向は未解決の問題が多く残っています。中先代の乱を鎮圧する際には、宇津宮三河権守や遠江前司として名を連ねており、これは彼と弟の貞泰を示していると考えられます。その後、出家し三河入道道眼（もしくは道経）と名乗り、康永3年（1344年）には室町幕府の引付衆（三番）に任命されました。弟の貞泰も同時に引付衆に任命されています。

その後、彼は四條畷の戦いでも活躍し、足利義詮の時代には評定衆として活動しました。また、応安2年（1369年）には「宇都宮参河入道順阿八十二歳」との記載があり、これは貞宗を示唆している可能性があります。彼は晩年には刀剣の目利きとして知られ、足利義満に仕えていたようです。

家族と子孫

宇都宮貞宗の息子は摂津親秀の養子となったとされ、その子が三河三郎であり、後に三河守を名乗りました。ただし三河三郎は、観応の擾乱においては一時的に足利直義方について活動しているため、彼の一族の複雑な歴史が伺い知れます。また、宇都宮氏の分家である美濃宇都宮氏が室町幕府の奉公衆として存在したことから、貞宗やその子孫が美濃に新たな拠点を築いた可能性も指摘されています。

このように、宇都宮貞宗はその名の通り、朝廷や幕府の枠組みの中で戦いながら、時代の変動を生き抜いた武士としての姿を持っていました。彼の年表に刻まれた業績は、彼の勇気と戦略を物語っています。

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