守ってあげたい!

守ってあげたい!

『守ってあげたい!』は、漫画家くじらいいく子が手掛けた同名の漫画作品、およびそれを基に制作された実写映画です。この物語は、一人の若い女性が陸上自衛隊という特殊な環境に身を置き、自己を見つめ直し、成長していく過程を描いた青春コメディとして知られています。

漫画作品

漫画『守ってあげたい!』は、小学館が発行する「週刊ヤングサンデー」にて1994年から1995年にかけて連載されました。単行本はヤングサンデーコミックスとして全4巻が刊行されています。

物語の主人公は、失恋という個人的な理由から衝動的に陸上自衛隊への入隊を決意した安西サラサです。配属された教育隊では、個性豊かな同期たちと共に、鬼と称される班長の指導のもと、想像を絶するほど厳しい訓練に明け暮れる日々を送ります。本作は、そうした困難な状況の中で、サラサが逃げ出さずに訓練を乗り越え、一人の自衛官として、そして社会人として自立していく姿を、ユーモアを交えながら描写しています。従来の自衛隊を扱った作品でしばしば見られるような、政治的あるいは社会的な背景やメッセージ性を前面に出すのではなく、ごく普通の少女が一般社会とは隔絶された環境で奮闘し、自身の存在意義や居場所を見つけていくという、パーソナルな成長物語に焦点を当てているのが特徴です。

書誌情報

くじらいいく子 『守ってあげたい!』 小学館〈ヤングサンデーコミックス〉、全4巻
第1巻: 1994年9月発行, ISBN 4-09-151561-4
第2巻: 1995年2月発行, ISBN 4-09-151562-2
第3巻: 1995年8月発行, ISBN 4-09-151563-0
第4巻: 1996年1月発行, ISBN 4-09-151564-9

映画作品

漫画を原作とする実写映画は、2000年3月4日に公開されました。この映画は、陸上自衛隊の全面的な協力を得て制作されており、特にクライマックスの演習シーンや、災害発生時の救助活動を描いた場面では、その協力体制によって臨場感と迫力ある映像表現が実現されました。

映画のキャッチフレーズは「くじけても、明日は晴れ。」で、主人公の奮闘と前向きな姿勢を表しています。

キャスト

安西サラサ（2等陸士）：菅野美穂
中蜂あやめ（3等陸曹）：杉山彩子
島馬京子（2等陸士）：宮村優子
牛尾衛子（2等陸士）：白川みなみ
桜吹雪鳥子（2等陸士）：池田真紀
亀田ひろみ（2等陸士）：氏家恵
鰐渕景子（2等陸士）：本橋由香
大熊ゆかり（2等陸士）：野村りの
佐々木正義（1等陸曹・地方連絡部）：村松利史
辻賢治（3等陸佐）：舟田走
安西麻美（サラサの妹）：福井裕佳梨
安西絹代（サラサの姉）：瑠川あつこ
リカ（サラサのアルバイト仲間）：鈴木紗理奈
南茅野（2等陸士）：安藤裕子
橘真治（3等陸佐・第34普通科連隊）：古尾谷雅人
安西忠雄（サラサの父）：酒井敏也
ドライバー：ミッキー・カーチス
千葉肇（2等陸佐・教育隊副隊長）：温水洋一
市ヶ谷君枝（1等陸佐・教育隊長）：宮下順子
松風雅也、羽賀佳代、野添義弘、水島新太郎、三上大和、野崎一馬 ほか

スタッフ

監督・脚本：錦織良成
音楽：本多俊之
主題歌：iORI「Will you…」
プロデュース：土橋聞多、小林智浩、小林広司
撮影：芦澤明子、小野亮
製作者：日下部孝一、石川富康、錦織良成、山下暉人、布川ゆうじ、高橋一平、加藤哲朗、深谷隆之、加藤肇
企画協力：小学館・週刊ヤングサンデー編集部
協力：防衛庁、陸上自衛隊、第1師団、第1教育団（女性自衛官教育隊）、富士学校 ほか
制作協力：光和興業
製作：「守ってあげたい!」製作委員会（日本出版販売、衛星劇場、小学館、スタジオぴえろ、ビジネスエクステンション、竹書房、エヌエスアド、ゼアリズエンタープライズ、マルカ）
配給：ゼアリズエンタープライズ、日本出版販売

関連事項

自衛隊を題材とした他の作品としては、2022年に放送されたフジテレビ系ドラマ『テッパチ!』などがあります。

映画に関する情報は、公開当時の公式サイトや関連サイトでも確認することが可能です。

このように、『守ってあげたい!』は、一般的な自衛隊像とは異なる視点から、一人の女性の成長と奮闘を温かく描いた作品として、漫画と映画の両方で展開されました。

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