守れ国体、葬れ邪教

守れ国体、葬れ邪教

「守れ国体、葬れ邪教」（まもれこくたい、ほうむれじゃきょう）は、1933年に大垣市立興文小学校の興文会によって作られた歌で、キリスト教宣教団体である美濃ミッションへの反対運動の一環として生まれました。メロディーは軍歌「戦友」が用いられ、全10番から構成されています。この歌は、その当時の官民が一体となって展開した美濃ミッション排斥の運動で広く歌われました。

歩みの背景

この歌の背景には、セディ・リー・ワイドナー宣教師によって創立された美濃ミッションがあります。岐阜県大垣市において、キリスト教主義の幼稚園を開設し、教育を通じた信仰の普及を目指していました。美濃ミッションは、聖書に基づく信仰、再臨の教え、偶像崇拝を否定する思想を持っており、その結果、子供たちが信念を基に特定の行事に参加することを拒否しました。

1929年には、大垣市中小学校（現在の大垣市立興文小学校）で行われた県社常葉神社への参拝に対して、また1933年には伊勢神宮参拝を拒否する事態が発生します。これが「国体の尊厳」を脅かす「邪教」とされ、地元の市民や官僚による反発が高まりました。この問題は、国家の権威と道徳に対する挑戦と見なされ、広範な排撃運動が展開されたのです。

排撃運動の拡大

大野伴睦は、市民に対し「合法的に、実力で美濃ミッションを閉鎖せよ」と呼びかけました。この言葉は、地元住民たちの士気を高め、反美濃ミッションの活動を発展させる原動力となりました。地元の人々はこの歌を広め、公共の場で積極的に歌い、美濃ミッションの本部前にも集まって反対の意志を示しました。この運動は大垣市内にとどまらず、新聞報道を通じて全国に広がりました。

美濃ミッション排撃運動の結果、教団の児童たちは義務教育から排除され、幼稚園は閉鎖に至ったのです。この事件は、教育の自由や信仰の多様性に対する大きな影響を与え、多くの人々の心に深い傷を残しました。

歴史の教訓

この事例は、信仰と教育における自由がどれほど脅かされやすいかを示しています。また、特定の信念や価値観が国や地域社会にどのような対立をもたらすかについて考えさせられる貴重な教訓です。「守れ国体、葬れ邪教」は、その時代の恐れや偏見の象徴として、また信仰の自由を求める声として今なお受け継がれています。将来的にもこのような歴史を忘れず、より寛容な社会を目指していくことが重要です。

参考文献

• - 「美濃大正新聞」1933年8月8日号
• - 『神社参拝問題の真相』一粒社 1933年12月8日発行
• - 『神社参拝拒否事件記録』（復刻版）美濃ミッション

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