安全衛生推進者

安全衛生推進者

安全衛生推進者は、労働安全衛生法に基づいて中規模事業場において労働者の安全と衛生を管理する役割を果たします。1989年の法改正以降、この役割は法定化され、中小規模事業場での労働災害の発生を防ぐための重要な要素となっています。特に、労働災害の発生率が中小規模事業場で高いことが確認されているため、推進者の存在は不可欠です。

推進者の選任要件

安全衛生推進者の選任は、常時10人以上50人未満の労働者を雇用している中規模事業場で義務付けられています。事業者は、選任すべき事由が発生した場合、14日以内に推進者を選び、その氏名を事業場内の見やすい場所に掲示する必要があります。この場合、安全衛生推進者に関する報告書の提出義務はなく、違反に対しても明確な罰則は設けられていません。

職務内容

安全衛生推進者の主な職務は、労働者の危険や健康障害を防ぐための措置や、労働者への安全教育の実施に関する業務です。具体的に以下のような業務を担当します：

1. 労働者の危険防止策の策定
2. 安全及び衛生に関する教育の計画と実施
3. 健康診断や健康維持のための施策の実施
4. 労働災害の原因調査と再発防止策の構築
5. 安全衛生方針の策定と共有
6. 作業環境の危険性や有害性の調査と対策の実施
7. 安全衛生計画の作成、実施、評価

また、建設業における特有の業務については、特定の条件下で救護に関する職務が除外される場合もあります。

資格要件

安全衛生推進者には、一定の資格を持つ者から選任する必要があります。これには、大学または高等専門学校を卒業後1年以上の実務経験がある者や、高等学校を卒業後に3年以上従事している者、さらには5年以上の実務経験を有する者も該当します。さらに、労働安全コンサルタントや衛生コンサルタントからの選任も可能です。

選任が必要な業種

安全衛生推進者は、特定の業種で労働者が常時10人以上50人未満である場合に選任が求められます。これには、建設業、運送業、製造業などが含まれ、特定の業種では衛生推進者も必要とされます。これによって、労働者の健康と安全が保たれやすくなります。

結論

安全衛生推進者は、中規模事業場において労働者の安全と健康を守るために重要な役割を果たします。法的に求められる選任要件やその職務内容を遵守することで、労働環境の安全性が向上し、労働災害を防ぐことができるのです。対策を講じることは、事業者の責任であり、労働者の安心安全な職場づくりに繋がります。

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