安城更生病院

安城更生病院について

愛知県安城市にある安城更生病院は、地域医療を支える重要な役割を担う病院です。JA愛知厚生連（愛知県厚生農業協同組合連合会）によって運営され、救命救急センター（3次救急）や西三河地域で唯一の地域がん診療拠点病院として、高度な医療を提供しています。

概要

安城更生病院は、安城市の基幹病院として、地域住民の健康を支えています。救命救急センターの設置に加え、緩和ケア病棟も備えており、がん治療から終末期医療まで、患者のニーズに合わせた医療を提供しています。また、災害派遣医療チーム（DMAT）も組織されており、災害時にも地域医療を支える体制が整っています。

病院の敷地内には、JA愛知厚生連の更生看護専門学校が併設されており、医療従事者の育成にも力を入れています。JA愛知厚生連は、安城以外にも県内7ヶ所で病院を運営していますが、安城更生病院は他の病院と異なり、「厚生病院」ではなく「更生病院」という名称が用いられています。これは、病院の設立経緯に由来するもので、地元農家のための病院として設立された歴史を反映しています。

近年、自治体病院の医師不足や経営危機が深刻化する中で、安城更生病院には近隣自治体からの患者が増加しており、市外患者の割合が50%に達するなど、医療提供体制に過重な負担がかかっています。このような状況から、病院長声明や市議会議員の議会発言を通じて、近隣自治体との医療連携の見直しが検討されています。

歴史

安城更生病院は、1935年（昭和10年）2月11日に「更生病院」として創立されました。設立の背景には、地元の農業者団体である「碧海郡購買販売組合連合会」（丸碧）の会長・岩瀬和市が、農家への還元策として病院の設立を提案したことがあります。山崎延吉の協力を得て、旧安城町役場の敷地に病院が建設されました。

設立当初は、内科、小児科、外科、産婦人科、耳鼻咽喉科、レントゲン科を備え、当時の碧海郡内で唯一の総合病院として、地域の医療を支えました。名古屋医科大学（現在の名古屋大学医学部）の全面的な支援を受け、最新の医療を提供しました。

医療費を格安に設定し、会員の所属組合の預金口座から差し引くシステムを導入するなど、農民が医療を受けやすい環境を整えました。また、巡回バスを運行し、地域住民の医療アクセスを向上させました。しかし、戦時中の燃料不足により巡回バスは休止となりました。

戦後、愛知県厚生農業協同組合連合会に統合され、病院は拡大を続けました。1961年（昭和36年）と1966年（昭和41年）には施設の改築・増設が行われ、病床数は1967年（昭和42年）には505床にまで増加しました。しかし、病院が中心市街地に位置していたため、さらなる拡充が困難となり、駐車場の確保も課題となりました。

2002年（平成14年）4月30日には、安城駅南口から約1.5km南方の広大な農地に新築移転し、名称も「安城更生病院」に改称しました。この移転には、安城市から92億円の補助金が出されました。2022年4月には病床数が771床に増床され、更なる医療体制の拡充が図られています。

主なアクセス方法

• - 名鉄名古屋本線・西尾線 新安城駅、JR東海道本線 安城駅から名鉄バス「安城更生病院」行きで「安城更生病院」バス停下車。
• - あんくるバス（北部線を除く全線）「安城更生病院」バス停下車。
• - 名鉄西尾線 碧海古井駅から西へ約1km。

参考文献

• - 安城市史編さん委員会編『安城市史』 安城市、1971年。
• - 安城市史編集委員会編『新編安城市史 3 近代』 安城市、2007年。
• - 安城市史編集委員会編『新編安城市史 4 現代』 安城市、2007年。

外部リンク

• - 安城更生病院

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