安水稔和

安水稔和（やすみず としかず）

安水稔和は、1931年9月15日に生まれ、2022年8月16日に没した日本の詩人です。彼は神戸松蔭女子学院大学の元教授でもありました。兵庫県神戸市須磨区で生まれ、詩作を通して社会や文化に深く関わりました。

経歴

1950年、安水は詩誌『ぽえとろ』を創刊し、詩の世界への第一歩を踏み出しました。1954年には神戸大学文学部英米文学科を卒業。在学中から詩誌に関わり、『歴程』『たうろす』の同人としても活動しました。現代詩人会にも所属し、詩人としての地位を確立しました。

安水の才能は詩作にとどまらず、1963年には多田武彦作曲の合唱組曲『京都』で文部省芸術祭奨励賞を受賞。1973年にはラジオドラマ『旅に病んで』で芸術祭優秀賞を受賞するなど、幅広い分野でその才能を発揮しました。1984年には井植文化賞、1989年には詩集『記憶めくり』で第14回地球賞、1990年には神戸市文化賞、1996年には兵庫県文化賞を受賞。1997年には『秋山抄』で第6回丸山豊記念現代詩賞、1999年には『生きているということ』で第40回晩翠賞、2001年には詩集『椿崎や見なんとて』で第16回詩歌文学館賞、2005年には詩集『蟹場まで』に至る菅江真澄に関する営為で第43回藤村記念歴程賞を受賞しました。

特に、阪神・淡路大震災をテーマにした作品を数多く発表し、震災の記憶を風化させないための活動を続けました。1985年から2017年まで神戸新聞読者文芸詩欄選者を務め、後進の育成にも尽力しました。

2022年8月16日、90歳で永眠。その生涯を詩と文化の発展に捧げました。

主な著書

安水稔和は数多くの詩集や評論集を出版しています。

『存在のための歌』（1955年）
『愛について』（1956年）
『鳥』（1958年）
『能登』（1962年）
『花祭』（1964年）
『やってくる者』（1966年）
『安水稔和詩集』（1969年）
『佐渡』（1971年）
『歌のように』（1971年）
『幻視の旅 旅へ行け/旅へ行くな』（1973年）
『歌の行方 菅江真澄追跡』（1977年）
『西馬音内』（1977年）
『異国間』（1979年）
『鳥になれ鳥よ』（1981年）
『安水稔和詩集記憶めくり』（1988年）
『おまえの道を進めばいい 播磨の文人たちの物語』（1991年）
『風を結ぶ』（1993年）
『木と水への記憶』（1994年）
『震える木』（1994年）
『ニッポニア・ニッポン』（1995年）
『君たちの知らないむかし広島は』（1995年）
『神戸これから 激震地の詩人の一年』（1996年）
『秋山抄』（1996年）
『島』（1997年）
『焼野の草びら 神戸今も』（1998年）
『安水稔和全詩集』（1999年）
『生きているということ』（1999年）
『椿崎や見なんとて』（2000年）
『届く言葉 神戸これはわたしたちみんなのこと』（2000年）
『安水稔和詩集』（2000年）
『新編歌の行方』（2001年）
『詩集ことばの日々』（2002年）
『眼前の人 菅江真澄接近』（2002年）
『おもひつづきたり 菅江真澄説き語り』（2003年）
『竹中郁 詩人さんの声』（2004年）
『蟹場まで』（2004年）
『小野十三郎-歌とは逆に歌』（2005年）
『十年歌 神戸これからも』（2005年）
『内海信之 花と反戦の詩人』（2007年）
『久遠』（2008年）
『未来の記憶 菅江真澄同行』（2009年）
『遠い声若い歌 安水稔和全詩集』（2009年）
『ひかりの抱擁』（2010年）
『新編幻視の旅』（2010年）
『杉山平一 青をめざして』（2010年）
『菅江真澄と旅する』（2011年）
『紫式部なんか怖くない』（2012年）
『鳥の領土』（2013年）
『ぼくの詩の周辺』（2013年）
『生あるかぎり言葉を集め』（2013年）
『安水稔和詩集 記憶の目印』（2013年）
『安水稔和詩集有珠』（2014年）
『春よめぐれ』（2015年）
『声をあげよう言葉を出そう』（2015年）
『安水稔和詩集成』（2015年）
『隣の隣は隣 神戸わが街』（2016年）
『神戸わが街 ここがロドスだここで踊ろう』（2016年）
『一行の詩のためには 安水稔和未刊散文集1961-2016年』（2016年）
『甦る 安水稔和詩集』（2017年）
『地名抄 安水稔和詩集』（2018年）
『辿る 続地名抄 安水稔和詩集』（2019年）
『繋ぐ 続続地名抄 安水稔和詩集』（2020年）

また、共編著として『神戸の詩人たち 戦後詩集成』や『兵庫の詩人たち 明治・大正・昭和詩集成』などがあります。合唱組曲の作詞も手がけており、多田武彦作曲の『京都』や池辺晋一郎作曲の『鳥について』などがあります。

外部リンク

* 安水稔和 - kotobank

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