杉山平一

杉山平一（すぎやま へいいち、1914年11月2日 - 2012年5月19日）は、昭和から平成にかけて活躍した日本の詩人、映画評論家であり、帝塚山学院大学の名誉教授でもありました。福島県に生まれ、大阪府立北野中学校（旧制）、松江高等学校（旧制）を経て、東京帝国大学文学部美学美術史学科を卒業。若き日に三好達治にその才能を見出され、詩雑誌『四季』に参加し、文芸同人として活動を開始しました。

戦時中から文学活動を活発に行い、織田作之助らと共に『大阪文学』を創刊。1941年には第2回中原中也賞（現在の同名の賞とは異なる）を受賞し、1943年には詩集『夜学生』で文芸汎論詩集賞を受賞するなど、早くからその才能を開花させました。

戦後は、詩作と並行して映画評論家としても活躍。映画文化、映画芸術、映画評論、キネマ旬報といった主要な映画雑誌に数多くの映画論評を寄稿し、日本の映画批評の発展に貢献しました。その評論は、映画作品に対する深い洞察と、独自の視点からの分析で高く評価されました。

教育者としても長く教鞭を執り、1966年より帝塚山学院短期大学教授、1985年に帝塚山学院大学を定年退職し、名誉教授となりました。また、1976年10月には大阪シナリオ学校の校長に就任し、後進の育成にも尽力しました。

杉山平一は、関西詩人協会の設立にも深く関わり、会長、四季派学会会長、現代詩人会会長などを歴任し、関西の詩壇を牽引しました。その功績が認められ、1987年に大阪芸術賞、2003年に『戦後関西詩壇回想』で第5回小野十三郎賞特別賞を受賞。2012年には、詩集『希望』で第30回現代詩人賞を受賞するなど、晩年まで創作意欲は衰えることなく、数々の賞を受賞しました。

2012年5月19日、肺炎のため97歳で生涯を閉じましたが、その文学的遺産は今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

主な著書

映畫評論集 第一藝文社 1941
映畫と演劇 第一藝文社 1942
夜學生 杉山平一詩集 第一藝文社 1942
声を限りに : 杉山平一詩集 思潮社 1967
映画芸術への招待 講談社 1975 (講談社現代新書)
詩集ぜぴゅろす 潮流社 1977
映像言語と映画作家：溝口健二から今村昌平まで 九藝出版 1978
詩への接近 詩と詩人への芸術論的考察 幻想社 1980
詩のこころ・美のかたち 講談社 1980 (講談社現代新書)
映像の論理・詩の論理 創元社 1987
現代詩入門 創元社 1988
杉山平一全詩集(上・下) 編集工房ノア 1997
戦後関西詩壇回想 思潮社 2003
映画の文体 テクニックの伝承 行路社 2003
杉山平一詩集 思潮社 2006 (現代詩文庫)
希望 杉山平一詩集　編集工房ノア 2011

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