安田謙一

安田謙一氏は1962年、兵庫県神戸市に生まれました。滝川高等学校卒業後、情報系企業に就職するも2ヶ月で退職。その後、京都に移り住み、レコード店でのアルバイトをしながら、音楽を中心とした独自の活動を展開します。

まず、自主制作のミニコミ誌『3ちゃんロック』を発行。さらに、後にメールマガジンを先駆けるようなFAXマガジン『今週のテンチングス』を創刊するなど、早くから情報発信に意欲的な姿勢を示していました。並行して、『ミュージック・マガジン』などの音楽専門誌へも寄稿を開始し、音楽評論家としてのキャリアを歩み始めます。1990年代には「安田ビル」というペンネームも使用していました。

初期の批評やエッセイは2003年、『ピントがボケる音』（国書刊行会）として書籍化され、高い評価を得ます。その後も精力的に執筆活動を続け、2012年には『なんとかと　なんとかがいた　なんとかズ』（プレスポップ）を出版。2003年以降は文筆業を主軸に据え、「ロック漫筆家」を自称するようになりました。

安田氏の活動は執筆活動だけにとどまりません。80年代後半から90年代にかけては、DJチーム「サウンドバビッチ」で内門洋氏と共に活動。ラジオDJとしても活躍し、ラジオ関西の深夜番組『つかしんミュージックウェーブ』内の『ポップス渦巻島』では、担当DJとして番組構成も担当しました。同番組では中村とうよう氏や阿木譲氏らもDJを務めていました。

また、2011年から2014年にかけては、ラジオ関西の生放送番組『夜のピンチヒッター』のDJを担当。2015年の休止を経て、2016年には放送日時を変更して番組が復活しました。さらに、作詞家としても才能を発揮し、モダンチョキチョキズの楽曲提供なども手がけています。

雑誌連載も多数執筆しており、『CDジャーナル』誌上では漫画家辻井タカヒロ氏との共著『書をステディ町へレディゴー』（旧題：『ロックンロールストーブリーグ』）を連載。その他、『ミュージック・マガジン』の『これがヒットか⁉』、『あまから手帖』の『神戸のE面』、『昭和40年男』の『西の国から吹くコラム　サンガリ★ア』など、多様な媒体に寄稿しています。

監修や選曲も手掛けた作品も多く、『テクノ歌謡』シリーズ、『ディスコ歌謡』シリーズ（いずれもP-Vine）、殿さまキングスの『ウラ・ベスト集ブラジル』（P-Vine）など、幅広い音楽ジャンルの作品に関わっています。

著書には、『ピントがボケる音』、『すべてのレコジャケはバナナにあこがれる』（市川誠氏との共著）、『ロックンロールストーブリーグ〜ステレオ!〜これがロック漫筆 VOL．1〜』（辻井タカヒロ氏との共著）、『なんとかと　なんとかがいた　なんとかズ』、『神戸、書いてどうなるのか』、『書をステディー町へレディゴー』（辻井タカヒロ氏との共著）、『ライブ漫筆』などがあります。

活動範囲は多岐に渡り、バンド活動（アマリリス、タマス&ポチス、ゲンシシンボス、THE神SUN）にも携わっています。文化庁芸術祭大衆芸能部門（関西の部）の審査員も務めるなど、音楽文化への貢献も継続しています。その活動は、単なる音楽評論家という枠を超え、幅広い文化活動に及ぶ、まさに「ロック漫筆家」と呼ぶにふさわしい存在と言えるでしょう。

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