安芸 (戦艦)

概要

戦艦「安芸」は、日本海軍の艦艇の一つであり、その名は安芸国に由来しています。旧字体の「安藝」ではなく、現代の「安芸」という表記で紹介します。日露戦争における戦力強化の一環として、臨時軍事費に基づき計画され、同時期に薩摩とともに国内で建造された最初期の戦艦の一つです。この艦は、準弩級戦艦として位置づけられましたが、当時の法令により、ワシントン海軍軍縮条約によって廃棄対象となり、最終的には実艦標的として処分されました。

建造と設計

「安芸」は呉海軍工廠で建造され、薩摩よりも1年ほど遅れて起工しました。この遅れによって、多くの改良が施されています。装備されている主砲は、30.5cm45口径連装砲が2基と、25.4cm45口径連装砲が6基であり、薩摩と同じく中間砲は同じ仕様ですが、副砲に関しては12cm（40口径）砲から、15cm（45口径）砲に変更されて8基装備されました。

また、「安芸」は日本の戦艦として初めてカーチス式タービン機関を搭載し、出力は25,000馬力に達しました。この結果、速力も20ノットを発揮することができ、装甲巡洋艦と同等の速力を実現しています。薩摩の煙突が2本であったのに対し、「安芸」は3本の煙突を持ち、これはボイラーの大きさを増すことによって、基数を減らして設計されているためです。これにより、常備排水量は19,800トン、全長は460フィート（約140.2m）に達し、いくつかの面で姉妹艦である薩摩よりも進んだ設計となりました。このように駆動系の革新によって「安芸」は戦術的に優れた艦艇として評価されていました。

艦歴

「安芸」の建造は、1904年（明治37年）に始まりました。翌1905年には艦名が内定し、1906年には正式に起工されます。その進水は1907年4月で、1911年には竣工を迎えました。1912年には横浜沖で観艦式が行われ、大正天皇の御召艦としても使用されました。1914年には第一次世界大戦に参加し、演習中に座礁する事件もありましたが、自力で離礁に成功しています。

その後も、多くの艦長が就任しながら艦艇としての任務を果たしました。特に1917年には大正天皇皇太子を供奉する艦としても活躍しました。その後、1919年までの間、大修理を受けるなどして艦としての役割を続けました。

最終運命

しかし、ワシントン海軍軍縮条約の影響により、1923年9月20日に除籍されます。「安芸」と「薩摩」はその後、標的艦として使用されることとなりました。最終的な沈没は1924年に行われた実弾射撃演習中に発生しました。射撃された際、砲弾は砂が詰められたものでありましたが、艦の沈没は海軍内に大きな悲壮感をもたらしました。この事件について当時の関係者は、「多くの功績を持った艦を撃沈することに対する悲しみを感じた」と回想しています。

逸話

退役後、戦艦「安芸」の一部の砲身は兵庫県の鳴尾八幡神社に供出され、戦没者を祀る「慰霊塔」として残されています。ここでは、日清戦争から大東亜戦争にかけての戦没者が祀られ、毎年8月15日に慰霊祭が行われています。このように「安芸」は、艦艇としての歴史だけでなく、戦没者の慰霊の場としても人々に記憶されています。

「安芸」はただの戦艦ではなく、時代を超えて語り継がれる歴史の一部であり、その存在は現在でも艦船ファンや歴史愛好家たちに大きな影響を与え続けています。

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