安藤師季

安藤師季（生没年不詳）は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて陸奥国で活躍した武将です。幼名は犬法師、初名は高季といい、安藤五郎太郎、安藤又太郎とも称しました。父は安藤氏の乱に関与したとされる安藤宗季で、弟に家季、子に法季がいたと伝えられています。本姓は安倍氏です。

生涯

米良文書には、安藤又太郎宗季、師季、法季、盛季、泰季が「奥州下國殿之代々」として記録されており、この頃の安藤氏宗家が下国を名字としていたことがわかります。従来、法季の子の代に盛季系統の下国家と鹿季系統の上国家に分裂したと考えられていましたが、近年では、安藤氏の乱における一族争い、つまり前蝦夷管領安藤季長と後任蝦夷管領安藤季久の対立に遡るとの見解も出ています。しかし、詳細については不明な点が多いのが現状です。

正中2年（1325年）と元徳2年（1330年）の二度にわたり、父宗季から所領を譲り渡されたことを示す書状が残っています（新渡戸文書）。この史料によると、最初に陸奥国鼻和郡の絹家島、尻引郷、片野辺郷、蝦夷沙汰、糠部郡の宇曾利郷、中浜御牧、湊以下の地頭御代官職を、次に一部地域を除く津軽西浜を相続しています。

元弘3年（1333年）、名越時如や安達高景らが新田義貞に敗れて鎌倉から津軽へ落ち延びてくると、大光寺城に籠城し、大光寺合戦が勃発しました。この時、高季は朝廷方として南部師行らと共に参戦しました。翌建武元年（1334年）には、津軽平賀郡上柏木郷の領知を北畠顕家の国宣により認められ、更に建武2年（1335年）には、正中2年に父から相続した所領の地頭代職を顕家によって安堵されました。

建武3年（1336年）、北朝方の斯波家長によって弟の家季が津軽合戦奉行に任じられ、南朝方の南部氏を根城に攻撃を開始しました。建武4年/延元2年（1338年）には、奥州総大将石塔義房により、弟に代わって高季が奉行となりました。

この頃、高季は足利尊氏の執事である高師直から偏諱を受け、師季と改名したと伝えられています。しかし、暦応4年/興国2年（1341年）には南部政長の勧誘に応じ、一時的に宮方（南朝方）に転じたという記録も残っています。このように、安藤師季は南北両朝の間を巧みに立ち回り、本領の維持拡大に努めた様子がうかがえます。

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