安藤良雄

安藤良雄は、1917年に広島市で生まれ、1985年にその生涯を閉じた経済学者です。東京大学名誉教授、成城大学学長を歴任し、日本の経済学界に大きな足跡を残しました。彼の研究は、大正から昭和にかけての日本経済、特に戦時経済の分析に焦点を当て、その業績は高く評価されています。

生い立ちと学歴

安藤は、大蔵省の役人であった父の赴任先である広島で生まれました。東京高等師範学校附属中学校（現筑波大学附属中学校・高等学校）を卒業後、旧制弘前高等学校に進学。1939年には東京帝国大学経済学部に入学し、土屋喬雄のゼミナールで経済学を学びました。1941年に大学を卒業後、同大学の助手となりますが、翌年には応召され、海軍主計大尉として戦時統制経済の実務に携わりました。

戦後の研究活動

戦後、1947年に東京大学経済学部の専任講師として教鞭を執り始め、助教授、教授へと昇進。1961年には、学位論文『日本資本主義の展開過程』で経済学博士号を取得しました。東京大学では、経済学部長や図書館長などの要職を歴任し、1978年に定年退官。その後は成城大学経済学部教授として教鞭を執り、経済学部長、そして1981年からは学長として大学運営に携わりました。

学界への貢献

学界においては、日本学術会議副会長、日本経済学会連合理事長を務めるなど、その発展に大きく貢献しました。しかし、成城大学学長在職中の1984年10月5日、出張先の名古屋市で心筋梗塞に倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。

研究内容と業績

安藤良雄の研究は、大正から昭和にかけての日本経済、特に戦時経済の分析に重点が置かれています。彼の研究は、当時の日本経済が抱えていた問題点や、戦時統制経済の実態を明らかにし、その後の経済学研究に大きな影響を与えました。

家族

安藤の父は台湾銀行常務であった磯野定次郎。母は松室致の長女である松室千代。兄は法学者の磯野誠一。妻は宇野哲人の三女であり、宇野精一、貫達人の妹、宇野茂彦の叔母にあたります。

著作

安藤は、数多くの著書や論文を発表しており、主な著書として『日本経済史』、『昭和経済史への証言』、『日本経済政策史論』などがあります。これらの著作は、日本経済史研究における重要な文献として、今日でも広く参照されています。

安藤良雄は、学者としてだけでなく、教育者、大学運営者としても多大な貢献をし、日本の経済学界の発展に大きく寄与した人物として、その名が刻まれています。

もう一度検索