安部龍太郎

安部 龍太郎について

安部 龍太郎（あべ りゅうたろう、生年：1955年6月20日）は、日本の著名な小説家として知られています。本名は安部 良法で、日本文芸家協会や日本ペンクラブに所属し、文学界で高い評価を得ています。

略歴とキャリアの始まり

福岡県八女市（旧・黒木町）で生まれた安部は、国立久留米工業高等専門学校の機械工学科を卒業しました。学生時代には太宰治や坂口安吾の作品を愛読し、高専在学中にラグビーに没頭していましたが大けがをし、1年間の休学を余儀なくされています。この経験を通じ、坂口の「堕落論」を読み作家の道を志すようになりました。

21歳で上京し、東京都大田区役所の矢口出張所に勤務。その後、下丸子図書館に異動し、そこで図書館報の編集に関わりました。この期間、同人誌に小説を書いていたものの、29歳で公務員を辞職し、2年間の執筆活動に専念しました。

デビューとその後の活動

安部の文学キャリアは1988年に短編「師直の恋」でデビューを果たしたことで本格的に始まります。翌年には連載が好評を博し、この作品を元にした『血の日本史』が自身のデビュー作として刊行されました。この作品によって、歴史小説家としての名声が確立され、「隆慶一郎が最後に会いたがった男」という伝説が生まれました。

作者としての地位は確立されたものの、彼は新人賞に何度も候補として挙げられながら受賞を逃しています。46歳の時、京都に仕事場を設け、茶道や水墨画の学習を始めました。

2013年には、自身の姿を画家・長谷川等伯に重ねて記した作品『等伯』で直木賞を受賞。この受賞は安部のキャリアにおける大きな転機となりました。

作品のテーマと特異性

安部は歴史を動かす要素として「海外貿易」「経済構造の変化」「それを担う人材の出現」を挙げています。この視点をもとに彼は三つのシリーズ（家康、遣唐使の物語、太平記）を手掛け、特に「太平記」シリーズは彼の出自が影響を与えています。南朝方の落人集落とされる地域で育った彼は、そのルーツをテーマに作品を創作しています。

受賞歴と著作

安部は2005年に『天馬、翔ける』で中山義秀文学賞を受賞し、2013年には直木三十五賞を獲得。今年には歴史時代作家クラブ賞の実績功労賞を受賞しています。また、多くの受賞候補作を持っており、彼の作品が文壇で高く評価され続けていることが伺えます。

彼の著作は多岐にわたり、代表作には『血の日本史』『黄金海流』『等伯』などがあります。これらは歴史小説に留まらず、日本の文化や歴史を深く掘り下げた内容が特徴です。さらに、彼は史論や随筆でも豊富な著作を持ち、時代小説や歴史小説において日本の文学シーンに多大な影響を与えています。世界観や物語作りの独自の視点から数々の作品を世に送り出し、多くの読者に感動を与え続けています。

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