安陸府

安陸府の歴史

安陸府は、中国の元代から民国初年にかけて、現在の湖北省荊門市一帯に存在した行政区画です。その変遷は、元、明、清、そして中華民国という各時代を通じて複雑な歴史を刻んでいます。

元代：安陸府の成立

1278年（至元15年）、元朝によって郢州が安陸府に昇格し、その歴史が始まりました。この時、安陸府は河南江北等処行中書省に属し、長寿県と京山県の2県を管轄しました。この時期の安陸府は、新たな行政区画としての役割を担い、地域の統治を担っていました。

明代：安陸州への降格と承天府への昇格

1376年（洪武9年）、明朝によって安陸府は安陸州に降格されます。しかし、その後の1531年（嘉靖10年）には、安陸州は承天府として再び昇格しました。承天府は湖広省に属し、直属の鍾祥県、京山県、潜江県の3県に加え、荊門州に属する当陽県と沔陽州に属する景陵県という、合計2州5県を管轄する広大な地域を統治しました。この時期の承天府は、地域における重要な行政拠点としての役割を果たしました。

清代：安陸府への再改称

1646年（順治3年）、清朝によって承天府は安陸府へと改称されました。安陸府は湖北省に属し、鍾祥県、京山県、潜江県、そして天門県の4県を管轄しました。この再改称は、地域の行政区画の再編を意味し、安陸府の歴史において重要な転換点となりました。

中華民国：安陸府の廃止

1913年、中華民国によって安陸府は廃止されました。これにより、安陸府としての歴史はその幕を閉じ、行政区画としての役割を終えました。安陸府の廃止は、中国の行政区画制度の近代化における一つの出来事でした。


安陸府の歴史は、元代から民国初期にかけて、政治的な変動や行政区画の変遷を反映しており、中国の地方行政史を理解する上で重要な事例です。その名称や管轄地域は時代とともに変化しましたが、それぞれの時代において地域社会の安定と発展に貢献してきたことは間違いありません。

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