安食総子

安食総子（あじき ふさこ）は、1974年5月2日に東京都武蔵野市で生まれた日本の元将棋女流棋士です。青野照市九段に師事し、女流棋士番号22として将棋界で活動しました。

棋士としての歩み

将棋との出会いは、アマチュア四段の腕前を持つ父の影響でした。1992年に女流育成会に入会し、プロへの道を歩み始めます。約6年間の研鑽を経て、1998年4月1日に女流育成会A級1位の成績を収め、女流2級として正式にプロ入りを果たしました。その後も順調に昇級・昇段を重ね、2002年4月1日には女流名人位戦B級リーグ入りを果たして女流1級に、そして2003年4月1日には規定を満たして女流初段に昇段しています。現役時代の得意戦法は四間飛車であり、特に斎田晴子女流五段（現女流六段）からは強い影響を受けたと語っています。通算成績は78勝161敗でした。

多岐にわたる活動

対局者としてだけでなく、将棋の普及やメディアでの活動にも積極的に取り組みました。NHK Eテレの「将棋講座」や「将棋フォーカス」といった番組では、人気棋士による講座の聞き手として出演し、将棋ファンに分かりやすく解説を届ける橋渡し役を務めました。また、2009年度まではNHK杯将棋トーナメントで、対局の進行を声で支える読み上げ係を務めた経験も持っています。現在も、インターネット上の将棋ネットワークなどを通じて、定期的に指導対局を行っており、ファンとの交流を大切にしています。

人物像とエピソード

安食女流棋士は、その親しみやすいキャラクターから「あじあじ」「あじじ」「あじー」といった愛称で多くのファンに呼ばれていました。幼少期には、父の仕事の関係で小学1年生から4年生までの間、ブラジルのリオデジャネイロで過ごしたという貴重な経験を持っています。1982年に大山康晴十五世名人がブラジルを訪れた際には、父がその案内役を務めるという将棋界との縁も早期からありました。この海外での経験について、安食女流棋士は「海外でいろいろ経験して、あまり動じなくなった」と振り返っており、その後の人生観や棋士としての姿勢にも影響を与えた出来事だったようです。私生活では、アマチュア将棋界の強豪として知られる細川大市郎氏と6年間の交際を経て、2008年1月に結婚を発表、同年3月に挙式を行いました。将棋以外の趣味としては動物園巡りを挙げており、特にパンダへの造詣が深い一面も持っています。

現役引退とその後

女流棋士引退規定により、2022年4月1日付で引退者リストに該当することが公表され、同年7月11日付で現役を引退しました。棋士としての対局からは退きましたが、将棋との関わりは続いており、引退女流棋士昇段規定に基づき、2023年4月1日付で女流二段に昇段しました。現在も指導対局などを通じて、将棋界の発展に貢献しています。

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