宗教改革議会 (イングランド)

宗教改革議会：イングランド国教会の誕生

宗教改革議会は、テューダー朝のイングランド王ヘンリー8世が1529年から1536年にかけて召集した議会です。この議会は、ヘンリー8世の離婚問題を発端として、イングランドの宗教改革を推し進め、カトリック教会からの離脱とイングランド国教会の設立を決定づけました。議会は、聖職者の権限を制限し、王権を強化する一連の法律を制定し、イングランドの政治体制に大きな変化をもたらしました。

開会までの背景

ヘンリー8世は、王妃キャサリン・オブ・アラゴンとの間に男子を儲けることができず、離婚してアン・ブーリンと再婚することを望んでいました。しかし、ローマ教皇クレメンス7世は、キャサリンの甥である神聖ローマ皇帝カール5世の圧力を恐れて、ヘンリー8世の離婚を許可しませんでした。このため、ヘンリー8世は、教皇庁との決別を決意し、1529年に議会を召集しました。

宗教改革の推進

宗教改革議会は、開会当初から反聖職者感情に満ち溢れていました。聖職者の腐敗や教会の富がローマに送金されていることに対する民衆の不満は大きく、議会はこうした感情を反映して、聖職者の権利を制限する法律を次々と可決しました。また、ヘンリー8世の側近であるトマス・クロムウェルは、この議会の雰囲気を巧みに利用し、王の離婚問題を解決するために、教皇権の排除と王権の教会支配強化を目指しました。

イングランド国教会の設立

議会は、教皇庁からの独立を推し進め、1533年には、教皇庁への上訴を禁止する法律を制定しました。これにより、イングランドは教皇庁から独立を宣言し、ヘンリー8世の離婚とアン・ブーリンとの結婚が合法化されました。さらに、1534年には、ヘンリー8世をイングランド教会の最高の首長とする国王至上法が制定され、イングランド国教会が正式に設立されました。

修道院の解散と王権の強化

ヘンリー8世とクロムウェルは、宗教改革をさらに進めるため、修道院の解散と財産没収を計画しました。1536年には、小修道院を解散する法律が可決され、その後、大修道院の解散も進められました。これらの解散により、王権はさらに強化されました。

議会の政治的地位

宗教改革議会は、イングランドを近代国家へと導く上で重要な役割を果たしました。議会は、王権と協調しつつも、時には王に反抗する場面も見られ、その政治的地位は確立されていきました。また、聖職貴族が弱体化する一方で、世俗貴族や新貴族が台頭し、議会内の重心が貴族院から庶民院へと移動する変化も見られました。

ヘンリー8世と議会

ヘンリー8世は、議会を尊重し、常に出席して議員たちと議論を重ねました。彼は、議会に信頼を寄せており、その後の王たちも議会を召集して政治に関わっていきました。

結論

宗教改革議会は、イングランドの歴史において重要な転換点となりました。この議会は、イングランドの宗教的、政治的な枠組みを大きく変え、近代国家への道を切り開きました。議会は、王権を強化すると同時に、議会自身の政治的地位を向上させ、後のイングランドの政治体制に大きな影響を与えました。

この議会での出来事は、単なる宗教改革の歴史にとどまらず、国家権力と宗教、そして議会の役割について深く考えさせられる事例と言えるでしょう。

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