宗泉寺 (中津川市)

宗泉寺について

宗泉寺は、岐阜県中津川市中津川にある曹洞宗の寺院です。山号を大石山と称し、本尊として釈迦牟尼仏、阿弥陀如来、弥勒菩薩の三尊を祀っています。

歴史

宗泉寺は、かつて川上集落の恵那神社の前に位置し、別当寺も兼ねていました。その歴史は古く、寺屋敷という地名や、社僧時代の笏が宝物として残っていることから、往時の様子を偲ぶことができます。

1574年、木曽義昌が武田勝頼の命を受けて阿寺城を攻めた際、宗泉寺と恵那神社も兵火に遭い、壊滅的な被害を受けました。その後、1610年代に現在地で再建されましたが、正確な創建年月は不明です。

1694年の寺社奉行への届出記録である「宗泉寺由緒」には、以下のように記されています。

当寺は古くから伽藍を有していたが、旧跡は荒廃していた。元和年間に笠翁祖寅和尚が住職となり、山村周斉居士がこの地を選び、境内を寄進し、堂宇を建立して仏像を安置した。

この再建には、山村周斉居士とともに、法堂建立の願主である川上原家の二代目、原五兵衛（春巌道栄居士）が大きく貢献しました。また、岩村城下の盛巌寺四世の乾中元貞を迎え開山したことで、宗泉寺は盛巌寺の末寺となりました。その後、三世の揚外秀播によって伽藍が完成し、揚外秀播は末寺である東圓寺の開山者でもあります。

本堂は1912年に新改築され、梵鐘は1949年に鋳造されました。

十王像

1663年、中津川の新町にあった十王堂から、古橋源治郎によって十王像が宗泉寺に移されました。現在の十王堂は残っていませんが、十王像は山門の二階に祀られています。

羅漢堂

1800年3月、羅漢堂が建立されました。この羅漢堂の建立には、1771年3月の勧進僧龍慎による十六羅漢造請縁起と、十二世の豊雲仙隆の供養式が深く関わっています。大橋越の勝野家一統の寄進により、当主の勝野七兵衛泰伯が非業の死を遂げた人々の供養のため、毎年一体ずつ京都から羅漢像を運び、満願の十六羅漢を祀っていましたが、1932年の前山大洪水で流失してしまいました。現在、その破片は山門の楼上に安置されています。また、豊雲仙隆は俳諧をよくし、互融坊と号して美濃派の宗匠として知られていました。

怡天の石

1821年2月、上田伴右衛門が書いた「宗泉寺所有山村歴代記」によると、中津川の恵下には神坂峠から奥恵下、徳原、戸沢、手賀野斧戸に至る古道が通じており、怡天の石はその道端にありました。この石は洪水で流されていましたが、近年藪の中から発見されました。この石は非常に珍しい名石で、これを持つ家は富と長寿に恵まれると言われています。近年では、宗泉寺の築山に置かれています。石には「怡天」の二文字が刻まれており、「怡」は喜ぶ、心が和らぐという意味で、地上の苦を離れ理想の世界を天とする意味が込められています。

寺宝

宗泉寺には、本尊である釈迦牟尼仏、阿弥陀如来、弥勒菩薩の三尊のほか、元禄期の涅槃像、恵那神社社僧時代の笏、伝牧渓筆の虎像大軸、山村公自筆の定書、山村甚兵衛歴代使用の膳椀などが寺宝として伝えられています。

祭礼

毎月1日には羅漢堂例祭、4月9日には羅漢堂大祭と大般若法要が執り行われます。

関連寺院

宗泉寺は、以下の寺院と関連があります。

盛巌寺 (恵那市)
東圓寺 (中津川市)

参考文献

『中津川市史　中巻Ⅱ』　第五編　近世(二) 第八章　寺社　第二節　寺院　ニ　近世の寺院　宗泉寺　p1622～p1624　1988年
『恵那郡史』　第八篇　現代　第四十一章　人文の発展(一)　【各宗寺院】　p612～p619　恵那郡教育会　1926年

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